平成24年度においては、平成23年12月に単著『ソーシャル・ネットワークと組織のダイナミクス』(有斐閣)及び、翻訳書として、デビッド・スターク著『多様性とイノベーション』(共訳、マグロウヒル/日本経済新聞社)を出版したことで、多くの理論的な解説及び実証的な分析を提示しながら、イノベーションのメカニズムについて、社会ネットワーク分析の視点からの説明を行った。また、実証研究としては、オーディオ産業の分析に関し、平成24年3月に単著論文「日本のオーディオ産業と中小企業の連携―ネットワークと文化の視点から」(学文社)を出版し、日本のオーディオ産業の衰退の理由を創造的な摩擦の欠如によりイノベーションが喚起されなかったことが要因であると、社会ネットワーク分析の計量データ分析から説明した。本年度は分析をさらに深めながら、日本語及び英文での何本かのワーキング・ペーパーとして学術論文を新規に作成・投稿する予定である。また、産業集積における中小企業ネットワークについて、フィールドワークのデータを加え、大規模ネットワークの分析を継続している。学会発表としては、平成24年6月にイタリアでの Society for the Advancement of Socio-Economics にて、オーディオ産業のネットワーク分析に関し、イノベーションの視点から発表し、世界中から集まる先端研究者との色々な交流や意見交換を行う予定である。また、これらの研究成果を生かし、「ソーシャル・ネットワークと戦略」についての単著を執筆中であり今後広く社会に還元する計画である。
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