研究課題/領域番号 |
22530374
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
田中 信弘 杏林大学, 総合政策学部, 教授 (00245458)
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研究分担者 |
ダイモン ドラモンド 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 准教授 (30341613)
宮川 満 立正大学, 経営学部, 教授 (30257167)
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キーワード | コーポレート・ガバナンス / マルチステークホルダー・プロセス / エンフォースメント / CSR(企業の社会的責任) / ソフトロー / 非財務情報開示 / EU(欧州連合) / 遵守か説明かの原則(comply or explain rule) |
研究概要 |
本研究は、コーポレート・ガバナンスやCSRにおけるソフトローのエンフォースメントを検討するものである。近年、EU(欧州連合)および欧州においては、企業の情報開示を促す規制が重視されている。それにより、コーポレート・ガバナンス原則に対する遵守状況の開示やCSR情報を含めた非財務情報の開示が拡充している現状がある。今後、世界の他地域においても類似のエンフォースメントの形式が採用されたり、影響力を増していく可能性があり、日本のコーポレート・ガバナンスおよびCSRの状況に対しても示唆を与えるものと考えられる。 本年度は、このような情報開示規制の有効性を検討・評価する作業の試みとして、先端を行くオランダとデンマークの関係機関および企業(GRI本部、NYSE・Euronext Amsterdam 証券取引所、CREM、Eumedion、Novo Nordisk社、デンマーク商業企業庁CSR部局など10機関)を訪問し、コーポレート・ガバナンスおよびCSRにおける情報開示の動向について聞き取り調査を行った。国内でも、外務省経済局OECD室、国連グローバルコンパクト・ジャパンネットワークを訪問し、聞き取り調査を行った。 研究成果としては、学会報告として「EUにおけるコーポレート・ガバナンスとCSRの動向について」(日本経営教育学会関東部会、2011年5月)、著書執筆として『現代企業要論』(創成社、2011年7月、共著)の中で「ドイツの企業統治と会社機関」を担当執筆、『ストーリーで学ぶマネジメント』(文眞堂、2012年3月、編著)を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
この数年間にEUにおける関係機関への聞き取り調査(計28機関)を行い、コーポレート・ガバナンスの最新動向の把握を行うことができた。さらに、CSRにおける情報開示のあり方にも、コーポレート・ガバナンスと共通の方向性が出現してきている現状を理解することができ、研究視点が大きく拡充した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、欧州の関係機関に対する聞き取り調査を本年度も行う。これまで数年間で、欧州28機関、日本国内8機関の聞き取り調査を行ったが、本年度はこれまでの視点をさらに前進させる題材として、コーポレート・ガバナンス(ソフトローの遵守状況)やCSR(ISO26000、国連グローバルコンパクト等の国際規格の影響)の情報開示に対する受け手側のアプローチを研究課題として考えている。NGOや機関投資家の反応が企業行動に与える影響を注視していく。さらに上場企業のコーポレート・ガバナンス・CSRのみならず、上場企業以外の動向にも視点を拡大し、欧州の協同組合などの組織の状況把握を試みたいと考えている。
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