研究課題/領域番号 |
22530386
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
藤岡 章子 龍谷大学, 経営学部, 准教授 (80330025)
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研究分担者 |
太田原 準 同志社大学, 商学部, 教授 (40351192)
金森 絵里 立命館大学, 経営学部, 准教授 (70330016)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 保育所 / 民営化 / 株式会社 / 事業所内保育所 |
研究概要 |
本研究の目的は、変化著しい保育業界に焦点をあて、その事業システムを分析対象とする。保育事業は、若年労働市場に依存した極めて脆弱な事業システムの上に成り立っており、それが今後も持続可能な事業として存在していくためには、どのような点において事業システムの変更や組み直しをしていくべきか、その再構築可能性について、経営学的あるいは会計学的視点から考察することである。 本年度は民営保育所のなかでも2000年以降設立が可能となった株式会社立の保育所、とりわけ従業員への厚生福利事業の一環として展開されている事業所内保育所に焦点をあて、関西に本社を持ち、事業所内保育所を運営する企業および保育所を訪問し、聞き取り調査を行った。聞き取り調査は、人事部あるいは総務部など管理担当者、実際を保育所を日常的に運営する園長、利用者である従業員などを対象に行った。調査を通じて、事業所内保育所に通う子供の多くが0~3歳児であり、産休・育休を取得した女性従業員がその後、職場復帰を果たす際に重要な役割を果たし、ひいては女性従業員の安定的継続的雇用につながっていることが分かった。一方でこうした保育所運営には多額の資金が必要されるにも関わらずその恩恵を受けるのは一部の従業員であるという点で、公平性という観点からみると企業の福利厚生策の1つとして維持する難しさがあるということも指摘されている。 本年度後半では、民営保育所の設置、運営が先行して行われたスウェーデン・ストックホルム市教育省学校庁(Skolverket)および株式会社立保育所Vittra Schoolを訪れ、その制度設計、現状、実態などについて調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
聞き取り調査先を移動時間のかかる首都圏ではなく、関西圏に変更したため、講義期間中にも調査先訪問が可能となったため、機動的に調査をすすめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
株式会社が運営する保育所が増えてきているものの、その多くは非常に苦しい経営状況にあり、事業システムとして既存の仕組み(20代の女性従業員を多く雇い、数年で新しい従業員と入れ替わることによって人件費を低く抑える)とは異なる仕組みをとる保育所は少ない。今後は保育所民営化が先行して行われ、多様な展開をみせるスウェーデンの現状を調査し、あるべき保育所の事業システムについて考察していく。
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