研究概要 |
H23年度の当初計画は,以下のとおりであった. (1)前年度の研究結果を踏まえて,分析枠組を完成させる. (2)研究対象となる協働プロジェクトを1つずつ選定し,詳細な事例研究を開始する. (3)ここまでの結果を踏まえて,質問票調査のための予備調査を開始するとともに,質問票の具体的な項目等を決定し調査に着手する. 本年度は,次に述べる研究計画の部分的な変更を除いては,概ね当初計画の通りに研究が進捗した.すなわち,研究対象となっている協働プロジェクトである「市民風力発電によるグリーンエネルギーづくり」の協働については,計画どおりに調査が進捗している. 他方,研究計画の修正・変更が必要となったのは,次の理由による.昨年3月11日に発生した東日本大震災の影響によって,H22年度の計画が一部変更になり,このため本年度の研究計画も一部修正が必要となった.その理由は,研究対象として接触してきた協働プロジェクトの3つのうち2つ(HGFによるカーボンオフセット事業をめぐる協働および,札幌市グリーン電力証書需要創出モデル事業)が震災後,事実上プロジェクトとして機能しなくなってしまったからである.すなわち,震災による計画停電をはじめとする一連の節電にともない,グリーン電力証書市場においてオフセット証書の取引が事実上成立しなくなってしまったため,これら協働プロジェクトが立ち往生してしまったわけである.このため,新たな研究対象となる協働プロジェクトを模索することが必要となった.具体的には,高齢者介護事業をめぐる行政・社会福祉法人・福祉関連企業間の協働にフォーカスを当て,引き続き調査を続行する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のとおり,研究対象としてきた協働プロジェクトの一部が,東日本大震災の影響によって事実上停止状態になってしまったことにより,計画の一部変更を余儀なくされた..震災の影響は事前に予測が不可能であったため,計画に遅れが生じたことはやむを得ないことであり,調査対象を新たに設定することで,研究を完成させたいと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
基本的に,当初計画通りに研究を推進させる.すなわち,これまでの調査結果に基づき,統合モデルを提示するとともに,有効な戦略的協働のガバナンスのあり方に関する理論構築を行う.その際,研究メンバー全員参加の「合宿形式」によるインテンシブな研究ワークショップを開催し,成果の共有およびコラボレーションによる理論的・実践的含意の深化を目指す.その上で,最終的成果報告書を作成するとともに,明らかにされた知見の報告を目指したい.
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