研究概要 |
本研究は,日本企業が欧州で展開する地域マネジメントについて地域統括本社制の視点から考察することを目的に行うものである。 平成22年度はまず,文献調査を行い,これに基づき,日系企業の地域統括本社に関わる最近の動向などを把握するとともに,インタビュー調査やアンケート調査に必要な研究のフレームワークを構築した。 また,日系企業の欧州地域統括本社におけるインタビュー調査を実施した。訪問企業は,パナソニック(英国),東芝(英国),テルモ(ベルギー)である。また,コマツは現地でのスケジュールが合わず,東京本社において調査を実施した。この調査から見いだせたことは,経済のグローバル化が進展した結果,従来のように地域内でマネジメントを完結する傾向が弱まり,それに伴い地域統括会社の役割が変化してきていることが明らかになった。また,地域統括本社の重要な役割の一つが,地域で完結することにより効果のあるシェアードサービスが中心となってきていることも明らかになった。 このように,調査の結果,日系企業の地域統括マネジメントのあり方が,約10年前と比較すると変化してきていることがわかっただけでなく,その結果を後に実施する予定のアンケート調査の質問項目に反映させることができた。なお,この現地調査は,当初は2011年3月に実施予定であったが,東日本大震災の発生により2011年7月に変更し実施したものである。
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