研究概要 |
本研究は,日本企業が欧州で展開する地域マネジメントについて地域統括本社制の視点から考察することを目的に行うものである。 平成23年度は,まず海外に地域統括本社や海外に統括機能を持つ日本企業本社に対するアンケート調査を実施した。このアンケートは,主に海外に地域統括会社を持つ日本本社195社を対象に実施した。しかしながら,このアンケート調査は,回答依頼を何度か行ったものの,回収率が低く,分析を行うに至らない状況となった。そこで,情報の不足を補うため,日本本社におけるインタビュー調査を実施した。 また,欧州に立地する地域統括本社・統括機能を持つ海外子会社230社を対象にアンケート調査を実施した。このアンケートの回答は昨年度末より回収作業を進めており,ある程度の回答を得ることができた。しかしながら,分析の有効性を高めるためには回収率を上げる必要があり,平成24年度に回答依頼を再度行う予定である。 それに加え,欧州に立地する地域統括本社においてインタビュー調査をスイスにおいて実施した。スイスを調査対象としたのは,調査研究の結果得られた知見から,近年スイスに立地する地域統括本社がみられるようになったこと,また,地域統括本社を世界本社に格上げし,グローバルなマネジメントを実現しようとする日系企業がスイスにおいてみられたことが理由である。訪問した企業は,サンスター,日産,JTである。あわせてジェトロジュネーブ事務所,IMDを訪問し,日系企業がスイスに立地する背景について調査した。 現在,アンケート調査の結果は現在分析を行っているところであるが,インタビュー調査の結果から,従来の地域統括会社のあり方が変わってきていること,また,地域統括本社から世界本社に発展するモデルが現れてきていることなど,本研究において重要な知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本本社を対象としたアンケート調査の回収率が低く分析に困難を来した部分はあるが,代替措置としてインタビュー調査を実施し情報を補っていること,欧州本社を対象としたアンケートの回収は概ね順調に進んでいること,さらに現地でのインタビュー調査も予定通り進んでいることなどを勘案し,(2)と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,本研究の最終年度にあたる。まずは,平成23年度に実施したアンケート調査の分析を進めていく予定である。なお,アンケートの回収率を高めるため,平成24年度の早期の段階で,回答依頼を再度行う予定である。また,アンケート調査の内容を補うために,欧州におけるインタビュー調査を計画通り,実施する。 最終的には調査研究を総括し,報告書としてまとめる予定である。
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