研究課題/領域番号 |
22530391
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤本 雅彦 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (90374884)
|
キーワード | 一人前 / 学習とキャリア発達 / 研究開発者 |
研究概要 |
大手電機製造企業の中央研究所に所属する30歳代前半の研究者12名を対象としたインタビュー調査(2011年7月)の結果、成長の転機となる節目は、1年目~3年目、6~7年目、10年目~、という大きく3つの波が見られ、仕事の転機では、共通して1~4年目までにビジネス(組織的)知識スキルを学習して主体性や自信をつけ、9~12年目には視野を拡大させることが特徴的だった。一方、人の転機では、共通して1~4年目で主にビジネス(組織的)知識スキルを学習することが特徴的だが、ビジネス(組織的)知識スキルの内容は、プレゼンテーションスキルが圧倒的に多い。また、視野の拡大は主に仕事の転機から学習するが、ハイパフォーマはビジネス(組織的)視野拡大が多いが、ノン・ハイパフォーマは専門的視野拡大が多い傾向が見られた。 次に、中堅製薬企業の30歳代前半の研究開発者20名を対象としたインタビュー調査(2012年2月)した結果、独創的な研究志向が強い創薬研究所の研究者と医薬品として認可させるための様々な検査や開発が要求される開発研究所の研究開発者にはキャリア発達と学習要件に幾つかの相違が明らかになった。 これら二つの調査結果を比較すると、いずれもプロジェクト(2~3年)に参画してそのサイクルを通して成長していくが、研究開発者には、専門的な研究成果を専ら要求される研究志向と、事業部門とのコンタクトが頻繁に要求される製品開発を意識した開発志向では、一人前に至るまでに要求される学習領域に大きな相違があり、状況適応的なキャリア発達のパターンが複数存在することが明らかとなってきた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの2年間でインタビュー調査ができたのは、大卒ホワイトカラーの中でも研究開発者に関するキャリア発達に限定されており、事務系ホワイトカラーの調査には着手できなかったため、当初に予定していた一般的な大卒ホワイトカラーに共通するキャリア発達モデルを探索するには2倍以上もの調査対象者と時間が必要であると思われる。これは、技術系の研究開発者だけでも、業種や職種などの相違によってキャリア発達に要求される学習領域に大きな相違があり、キャリア発達パターンが複数存在することが明らかとなり、それらのパターンを洗い出して科学的な検証を積み重ねるための調査サンプル数を想定よりも拡大しなければいけないためである。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、この補助金による研究の最終年度となっているが、このまま技術系のキャリア発達を中心に調査を進め、改めて25年度以降に事務系ホワイトカラーを対象とした調査にシフトし、最終的には大卒技術系と大卒事務系に共通するキャリア発達モデルと両者の相違を具体的に明らかにする。
|