平成24年度の調査対象となる研究開発者は、当初は情報システム開発者を想定して複数の情報システム企業の人事責任者と交渉をしたが、インタビュー調査の承諾を得ることができなかった。そこで、自動車関連製造業の開発者にターゲットを絞り、日本の大手タイヤ製造業の開発者のインタビューを実施することに方針転換した。 その結果、2013年2月上旬に人事責任者からの人事制度や教育体系などのヒアリング調査を経て、2013年3月上旬には某製造所の開発技術者12名のインタビュー調査を実施することができた。 調査結果について、2013年4月の現時点では詳細を分析中だが、これまでの調査結果と比較して大きな乖離はなく、これまでに考えられた仮説モデルをほぼ検証するような結果となった。すなわち、2~3年程度のサイクルを伴う仕事を通して徐々に周辺的な業務から中核的な業務を担当し、その間に2~3回程度の大きな成長の転機を経て一人前に成長していくことが一般的なモデルである。また、入社間もない初期サイクルでは上司や先輩の指導による成長の転機の確率が高く、仕事の転機に先だって上司や先輩による転機が先行することが明らかになってきた。 つまり、入社後間もない初期サイクルに従事する研究開発者には、上司や先輩による業務遂行スキルや態度などの指導が重要な意味を持ち、入社後5年目程度の半人前に至る2~3サイクル目ではより責任の重い中核的な仕事の経験を通して大きく成長していくパターンが明らかになった。
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