本研究は近年、顕著に見られる日本企業の製品設計、生産、メンテナンスなどのミスなどによって引き起こされた製品の市場でのトラブルなど品質に関する事故(品質事故)と組織能力との関係をシステム的に分析し、品質事故を未然防止する最適な組織マネジメントのあり方を提案する目的とする。 平成22年度は研究の全体的な枠組みづくりを作成し、調査対象業種を自動車、電子・電機機器などに絞り、下記の調査を行った。 (1)公開情報の整理・分類 自動車業界、電機機器業界を中心に政府機関を中心に蓄積されている品質事故情報を精査した。 (2)当該研究対象として重要産業に焦点をあてた分析 自動車業界、電機機器業界を中心に業界特性(技術面や人材面での特性)の把握や歴史的経緯を踏まえた分析を行った。 (3)企業組織論・経営学での既存分析のアプローチ (2)と並行して、人的資源管理論や組織行動論での既存の分析手法と技術の関与について品質事故の文献調査を行った。 (4)対象産業に関する企業実務家への第一次インタビュー調査 自動車業界、電機機器業界(各1社、計2社)を中心に、業界の動向と品質事故の要因を把握するためにインタビュー調査を行った。対象者は、設計部門、製造部門などの管理者であった。
|