研究課題
平成22年度は、「組織における日常的言説を集約するツール」の開発にウェイトを置いて、研究を行った。(1) インフォーマルな言説(居酒屋のセリフ)を収集・分析するツール「居酒屋のセリフ」300個からなるセリフ・プールを作成した。その中から(職場風土に関連する)100個を選定して、ある大企業の一つの部署で調査を実施した。具体的には、「調査実施→数量化III類による分析→居酒屋のセリフを異にする複数グループの同定→職場ごと、属性要因(性別、年齢、職種、職位等)ごとの特徴分析」という一連の分析プロセスを踏んで調査・分析を行った。その結果、従来の職場風土調査では把握できなかった面を把握できることが明らかになった。とりわけ、構成員が、いかなる(インフォーマルな)会話環境にあるかが浮き彫りになった。(2) 良好な職場の「当たり前」をメッセージ化し、他の職場や上層部に発信するツール原子力発電所における事前のアンケート調査で良好な結果を示した職場(課長以下構成員約30名)を選定し、その職場で「当たり前」となっている業務の進め方、仕事の仕組み等を全員に複数回インタビューした。インタビュー調査の過程では、可能な限り会議や打ち合わせ等に出席するとともに、インタビューで言及された資料やコンピュータ・ディスプレーの実物をも観察した。その結果、その職場では、スポーツの言葉を借りれば、「勝負に勝ちながら、人を育てる」姿勢が、日常的な会話や行動の中に定着していることが見出された。インタビュー調査の結果をメッセージ化し、他の職場や上層部に発信した。
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Safer complex industrial environments : A human factors approach.(Hollnagel, E.(Ed.))(FL : CRC Press.)
ページ: 171-187