製造業の研究開発に関する知見の例。1.企業内中央研究所が日本では事業に貢献し続けている、2.研究所長の役割はワンマン型~合議型~アドバイザー型へと変遷している、3.技術情報の伝達は発信者と受信者の間で次のどれかが共有されているか成立していなければならない:共通の文化、共通の目標、師弟関係、4.研究所から事業部への技術移管において、若手を転出させながらリーダー格を研究所に残すことで事業化にまつわる諸問題を解決している例がある。この1~4の運用は、そのままサービス分野の規模の大きな企業でのサービス事業開発にも適用可能である。 サービス分野の中小企業における事業創出で、まず製造業(ロボット)ながらサービス視点で目覚ましい業績を上げている企業では、1.ロボットを前提とするのではなく課題解決(サービス)を優先して設計する、2.行政機関による産業振興施策のあり方にとらわれずに自立すべきところは自立、3.新事業にとって障壁となる規制には挑戦すべきときは挑戦する、4.海外展開のプロセスでは大きな絵を描くよりもまずは先方の特定のニーズに徹底的に答えることから門戸を開く、などの教訓が得られた。次にディスカウント店(ドンキホーテ)が描く国際観光客誘致の戦略は、1.不満足要因を取り除きながら(外国語スタッフの充実、通貨やカードの利便性向上など)、2.同時に満足要因を高める(国ごとの土産品の提案、魅力的な品揃えとその陳列法など)、これらのどちらを欠くことなく推進している点が、学ぶべき点であると考えられる。 日本型サービスでグローバル対応するには、A.製造業と同様、現地化して大きな市場を狙う(例:ペットボトル茶)、B.対面での交流や説明を重視して、小規模だが確実な顧客を確保する(例:江戸前鮨)、C.両者の中間で、中程度の市場を狙う(例;学習塾、お香)など、ビジネスの特徴によってねらいが変わる。
|