研究課題/領域番号 |
22530407
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
原 拓志 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (60252756)
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キーワード | 安全 / 技術経営 / 組織プロセス / 技術システム / 原子力発電所 / 福島第一原子力発電所 / 技術の社会的形成 / 高速鉄道 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、技術と組織の相互形成に関する先行研究について理論的な批判を加えつつ、理論的枠組みの精緻化を図った。また、社会に大きな影響を与えている福島第一原子力発電所の事故の発生を受け、原子力発電の領域を本研究の主たる経験対象の一つとした。技術システムの安全形成の組織プロセスについて研究するにあたって、喫緊の問題である原子力発電所事故を取り上げ考察することは、社会的にも、またこうした潜在的に危険な技術システムを運営する企業経営にとっても重要な意義があると思われたからである。この領域での事例研究を進めるにあたり、原子力発電およびその安全に関する技術史、社会史などの資料を収集するとともに、福島第一原子力発電所の事故の経緯や背景などに関する資料も収集し、技術-社会システムとしての安全の社会的形成の面から、および組織プロセスからの安全の社会的形成の面からの分析を行ってきた。 初期的な研究成果もまとめつつある。上記の事例については、技術-社会システム安全の社会的形成の面からの概観的な分析については、オーストラリアGriffith大学のRichard Hindmarsh准教授らとの共著の1章としてイギリスのRouttledge社からの出版に向けて準備中である。また、組織プロセスの面からの分析については、その初期的な成果を、2012年6月26-9日にアイルランドのLimerick大学において開催されるThe International Federation of Scholarly Associations of Management(IFSAM)の第11回大会での論文発表に採択された。 なお、2011年7月3日に神戸大学で開催された日本情報経営学会第62回大会において、昨年度までの研究成果の一部(事例は高速鉄道)を報告し有益なコメントを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
福島第一原子力発電所の事故を受けて、当初の計画にあげた事例研究の対象に原子力発電所を加え、本年度は主にそれに集中してきたが、それについて初期的ながらも研究成果が論文や発表の形で出来つつあり、来年度には発表できることが決まっているから
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今後の研究の推進方策 |
原子力発電システムの安全形成に関する初期的研究成果の発表を来年度に実施し、そのフィードバックを受けながら、研究課題についての考察を深めるとともに、さらに複数領域でのフィールドワークを実施し、理論的考察を加えることによって、技術と組織との相互形成プロセスがいかに安全形成と関わっているかを明らかにしていく。
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