研究課題/領域番号 |
22530407
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
原 拓志 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (60252756)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 経営学 / 技術経営 / 安全 / 組織プロセス / 技術システム / 技術の社会的形成 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、技術と組織との相互形成に関わる先行研究について理論的な批判を加えつつ、特に安全に関する研究を重点的に取り上げながら、理論的枠組みの精緻化を図った。事例研究としては、昨年度に引き続き福島第一原子力発電所の事故や、近年発生したJR北海道のインシデント、医薬品の臨床試験や院内感染、化学プラントにおける爆発および火災事故などについて、その社会的・組織的背景に関するものも含めて、関連資料の収集や分析を行った。分析については、技術社会学の研究アプローチの一つである「技術の社会的形成アプローチ」と先行研究から導き出した理論的枠組みを適用した。 その成果の一部として、オーストラリアを始め各国の研究者との共著の著書 Nuclear Disaster at Fukushima Daiichi: Social, Political and Environmental Issues (Routledge, UK)の第二章 Social Shaping of Nuclear Safety: Before and after the Disaster (pp. 22-40)を執筆して国際的に出版した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原子力発電所、航空、鉄道、医療、化学プラントなどにおける事故事例とその背景にある組織プロセスに関する文献データを多く集められたこととともに、この領域における先行研究の検討に基づいた理論的分析も進みつつある。また、その研究成果の一部を英語で書かれた共著書の一章分を担当することで世界に発信することもできたから。 ただし、聞き取り調査などについては、本年は十分に実施できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
「技術の社会的形成アプローチ」及び他の先行諸研究をもとに精緻化した理論的枠組みを用いて、これまでに収集した諸領域における技術システムの安全形成のための組織プロセスに関する諸事例の比較分析をまとめる。その研究結果について、複数のディスカッションペーパーを用いて詳しく公表するとともに、特に重要な結果については、秋に東京で開催される経営学の国際学会IFSAM 2014(The 12th World Congress of International Federation of Scholarly Association of Management) で報告し、さらに投稿論文として学術雑誌での掲載を目指す。
|