研究課題
国の成熟とともに第2次産業から第3次産業へのシフトが起こる。一人当たりのGDPとサービス産業の割合を比較すると、ほぼ正の相関が見られる。その中でもわが国は、サービス産業の比率が、欧米を中心とした成熟国と比較すると低い。一方、製造業とサービス業を比較すると、成長度、絶対的な利益率とも製造業の方が高い。製造業の多くは、サービス業(特に流通業)と密接に結びついており、ICT技術などの先端技術を備えながらも多くの古い商習慣が多く残っており、物流、資金、情報の流れが悪く、生産性が上らないという問題を抱えている。たとえば、流通における中間業者の存在、デパートなど小売業態、携帯電話企業の端末販売など、日本固有の商習慣であり、生産者に比べ流通企業が異常に多い情況に陥っている。こうした問題に対し、製造業が消費者との距離を短くする、あるいは、流通段階での付加価値(サービス)をつけるといった方策が考えられているが、ネット販売、アパレル業態など一部、実現されているものの、日本の産業全体を考えると、十分とは言えない。一方、製造業は、韓国、中国、東南アジア諸国での生産性の向上は日本をしのぐものであり、もはや、品質面、スピードともに遜色のないレベルにまで来ており、生産面での付加価値向上は困難な情況にある。そこで、日本企業が考えるべき方向性は、価値をいかに創造するかという観点より、生産、流通、それぞれの部分最適を考えるのではなく、両者の全体最適をいかに設計するのかという課題に取り組む必要があると考える。こうした取組は、近年、ビジネス・モデル革新といった言葉で代表されており、世界的に、多くのビジネス・モデルのイノベーションが起こっている。その根幹となる、製造とサービスをいかに結びつけ価値を創造するかという、ビジネス・モデルのイノベーションをサービス・イノベーションと位置づけ、研究を進めた。
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International Commerce Review
巻: Vol.9, No.1-2 ページ: 58-65
国民経済雑誌
巻: 第201巻第6号 ページ: 58-104
http://www.rieb.kobe-u.ac.jp/project/sihrm/index.html