モノとサービスによる価値を、開発・生産、販売・接客、消費者という3つの主体からなる枠組みから捕らえ、それぞれの活動がどのように連結されたのか、つまり、サービスの観点から見たときに、バックヤードと(モノ)、フロントヤード(サービス)はどのようにマネジメントされたのかという観点より、実際の企業調査を行い分析した。研究は、製造業の代表として、ダイキン工業、コニカミノルタ社という業績良好な企業が行う、モノづくりとサービスについて、原材料から製品組み立て、マーケティング、販売に至るまで、調査を行った。調査は、インタビュー調査、財務データを用いた分析とともに、サービス項目を加味したモデルを作成し、サービスが生む価値を特定した。一方、企業調査により、組織構造、生産、製品開発、営業のといった資源はどのようなマネジメントにより連結されているのかといった定性的な調査も行い、サービスにより価値を生み出している企業のマネジメントの特徴を明らかにする。製造業が行うサービスの分析は、いわゆる購入時の説明やメンテナンス、修理といった従来、流通が行っていた項目だけではなく、製品デザイン、顧客満足度のフィードバックループを捉えたサプライ・チェーン全体に及ぶ。つまりサービスの研究は、今後、製造業が担う日本企業の競争力に関わるビジネス・モデルのイノベーションそのものの優位性についてケース分析を通じて研究した。
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