研究課題/領域番号 |
22530411
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
上西 研 山口大学, 大学院・技術経営研究科, 教授 (50177581)
|
キーワード | CAE / 製品開発 / ALD |
研究概要 |
前年度実施したヒアリングに基づき、システム指向的な米国のものづくりと暗黙知を基盤とした擦り合わせ型の日本のものづくりが、CAEを核としたときにどのように融合するのかといった観点から、中間段階での成果をまとめた。すなわち、製品開発の初期段階で多くのことを規定していく広義のCAEのスタイルは、プロセス開発まで含めた広義の製品開発の各フェーズでの擦り合わせ活動によって調整していく日本の伝統的もめづくりにどのように適用していけばよいのかを明確化した。作業的な付加が最も大きかったのが、ベンチマークたりうるシステムモデルの開発作業である。具体的には、システムモデルを二段階に分けて構築し、極めて抽象度の高いモデルと、具体的な製品をイメージしたモデルの二段階に分ける可能性を探っていくことである。この作業は製品の物理特性に関する深い知識が不可欠であり、研究計画全体から見て、この作業にかかる部分が最も不確実性が高いことが予想されたので、全ての協力企業向けのモデルの開発ではなく、一社に限定したモデル構築を行った。その際、研究成果全体の一般性を担保するために、先進的ものづくり企業のCAE導入・活用に関するベストプラクティスという観点から、協力企業のエンジニアおよびマネジメント層と議論を重ねながら研究を進めた。その研究成果の中の概念設計に係わる部分を、共同研究者である博士後期課程の学生がイタリアで開催された国際会議ICAMAME2012で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ベンチマークとなるシステムモデルの開発に苦労したが、予定通りに構築することができ、ほぼ全体計画通りに達成できたため、おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
筆者は技術経営研究科に属しており、エンジニアとも強いパイプがあることから、経営関係の学会のみならず工学関係の学会等においても積極的に成果を公表し、それぞれの分野における研究成果への見解を得る。これらの意見を再度統合して論文を作成すれば、一歩踏み込んだ形での技術経営領域の研究成果の公表につながると考えている。この際、経営系での発表ではALD導入と製品開発組織の関係を、工学系ではシステムモデルの意義に焦点を当てていく。前者に関しては前年度中までにおおよその整理・統合は完了しているが、最終的な研究結果の妥当性とNDA契約に照らした研究内容の適切性を確認するために、協力企業に対してフォローアップのヒアリングを実施する。仮想的システムモデルに関しては、最終的な構築作業を当該年度の中間時点を目途に完成させていく予定である。
|