研究課題/領域番号 |
22530414
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
塩次 喜代明 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (30154173)
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キーワード | グローバル競争 / リバースイノベーション / 先端技術のグローバルな囲い込み / 自動車産業 / 垂直統合モデル / 電子機器産業 |
研究概要 |
研究の問題意識である「グローバルな競争下で先端技術分野の優れた技術を纏ったわが国製品が、なぜ競争力をうまく発揮できないのか」が、本年度は現実のものとなり、薄型パネルTVや電子情報端末などの電子機器業界は苦境に陥り、我が国には優位性があると目された国内垂直統合による生産技術戦略は困難となった。 そこで、今年度は一部企業でアジアを起点にリバースイノベーションに取り組む動きやグローバル提携による先端技術の囲い込みがすすんでいること、さらにはタイムベースな戦略がグローバルに進められていることに注目して、そのような実態を説明するデーター収集や先行研究のレビューをおこなった。具体的には、ホンダの自動二輪車事業の中国展開、日産やトヨタのグローバル化の実態、エレクトロニクス産業における液晶パネル事業の実態等に関して調査をおこなうとともに、関連文献や公表データーの収集に努めた。その結果、これまでの2年間の調査を通じて多くのデーターを収集できたので、これを基に減少に背後に潜む戦略ロジックを探りつつ、研究論文を執筆できる態勢が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年年度の半ばまでは自動車産業や電子機器産業の実態にかかわる情報収集に力点を置くことにしていたが、これについてはかなり達成できた。しかし、九州大学の定年を迎えたので、そのことから発生する大学院生の学位論文指導の決着をつけることや、移籍先の大学での研究環境の整備等に予想外の時間がとられて、論文による研究発表は最終年度に回すことになった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度を迎えるので、これまでの調査に基づく成果発表に注力する。本研究課題が我が国の基幹産業が直面する重大な問題を取り上げていることを鑑み、成果発表が現在の問題の解決の一助になるように対応を考えたい。
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