研究課題/領域番号 |
22530423
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
網倉 久永 上智大学, 経済学部, 教授 (70222693)
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キーワード | 経営学 / 経営戦略 / 技術経営 / イノベーション |
研究概要 |
本研究では、デジタルカメラ・薄型テレビなどの多機能・高機能製品について、製品機能に関するメーカー・ユーザー間の合意が形成されてきたプロセスを定量的に把握することを目指している。メーカーからの製品機能提案については、プレス・リリースを対象とした「内容分析」によって、頻繁に用いられている単語を特定し、何を重点的にアピールしようとしてきたかを明らかにする。ユーザーの評価については、店頭販売時点でのPOSデータに基づいた「ヘドニック回帰分析」を行い、顧客が製品のどの機能に価値を認めていたかを特定する。 平成22年度には、デジタルカメラを中心に研究を行った。まず、メーカーが発表しているプレス・リリースを網羅的に収集し、内容分析ソフトウェアで扱えるようなテキスト形式のデータに変換した。データが整ったところで内容分析を行い、各メーカーが自社製品の特徴として何を強くアピールしてきたかの変遷を把握し、こうした「力点」の違いを定量的に把握するための指標作成を試みた。これによって、産業全体での「競争焦点」がどのように変遷してきたか、こうした変遷に各企業がどのように対応してきたのか(全体トレンドに先駆けて対応してきたのか、トレンドに遅れていたのか)を解明した。 その一方で、入手できたPOSデータの分析対象期間(1998年から2006年)について、市場に導入された製品ごとにその特性・機能を整理し、ヘドニック回帰分析を行い、特定の製品機能・特徴が、顧客が実際に支払った価格に対する貢献度を明らかにした。 平成23年度には、プリンター等のプレス・リリースを収集し、データ化するとともに、内容分析に関連する定性データ分析のための資料・データの収集を行った。また、23年度には、デジタルカメラのデータ分析の成果をもとに、組織学会にて研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プレス/リリースの内容分析を行うためには、分析対象として取り上げる意味のある単語と、一般的すぎて分析対象として相応しくない単語(たとえば、デジタルカメラの場合の「撮影」など)が存在し、こうした区分を正確におこなうためには、各業界に関する定性的なデータ分析を行う必要がある。定性データ分析のために不可欠な聴き取り調査の日程調整が、相手方の都合もあって難しい場合も多いため。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の通り、定量データ分析と定性的分析を組み合わせて分析を行い、研究成果を学会誌等に投稿したり、口頭報告を行う予定である。
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