研究課題
本年度は、最終年度の成果として、2本の論文と学会報告を1回行った。新製品開発プロジェクトにおける技術者間の知識移転を促進する要因について探求した論文が『組織科学』に掲載された。この論文は、同一部門内の知識移転と部門間の知識移転では、移転の促進・阻害要因が異なる可能性があることに着目したものであるが、先行研究ではこうした組織の境界が知識移転に与える影響についてほとんど注目してこなかった。実証分析の結果、部門内と部門間では知識移転の促進・阻害要因が異なることが示された。また、その際、個人的知識だけでなく、集合知の移転が重要であり、集団的教育指導によってそれが促進されることを見出した。本研究の成果をもとに、さらに分析を精緻化したものをAcademy of management学会にて研究報告を行った。また、マクロ的観点の研究としては、トップ・マネジメント内部でのグループ・ダイナミクスに着目し、戦略変更のプロセスに影響を与えるファクターを探った。特に本稿ではパワーバランスに影響を与える要素として、前任社長のパワーに着目したが、前任社長が解雇された場合には、戦略変更が行われる可能性が高いことがわかった。他方、業績の悪化は、モデレータ変数としては影響がないことが分かった。また、パワーのある前任社長が会長として残留した場合には、新社長の戦略変更を妨げる効果があることが見出された。本稿の分析結果は、関係性ベースのガバナンスにおいても社長交代パターンは重要な戦略変更の予測変数であるということに加え、前任社長のパワーが重要なモデレータ変数となりうることを示している。この研究成果は、Strategic Management Journalに掲載されている。なお、この研究成果の発展形として戦略変更がイノベーションの方向性に与える影響については、現在論文を作成中であり今後の投稿を考えている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategic Management Journal
巻: Volume 36, Issue 2 ページ: 298-306
組織科学
巻: 48巻2号 ページ: 61-73