研究概要 |
本研究は,国際展開している企業グループのマネジメントのあり方を、グループ内取引の有効性と効率性の観点から実証的に分析することを目的とする。この研究テーマは,伝統的に経済学と経営学それぞれの領域で独立的に行われてきたが、企業を対象にしつつもその内部には立ち入らない経済学と企業内部に立ち入って研究を行う経営学の間には様々なギャップがあり、両者の融合的研究は急務であるにもかかわらず,実際にはほとんど行われてこなかった。けれども,近年の経済学の新しい展開,特に「組織の経済学」や「企業の経済学」の登場によって,企業組織,経営実践などの経済学的分析が進んだ。そこで,本研究は「取引費用アプローチ」を軸に経済学と経営学の融合的研究を実証的に試みる。取引費用と考えられるものは多岐にわたるため、本研究はその中でも特に組織の構造的問題と資源の中でも人材に着目して研究を進める。 研究初年は日本企業の海外進出データを収集・整理とともに2年目の本格的なアンケート調査に向け,ベトナムに進出している日系企業に対してパイロット調査を実施した。さらに、日系企業と取引のある台湾企業数社に対して日本企業との取引に見られる特徴や課題についても聞き取りを行った。
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