研究課題/領域番号 |
22530432
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
櫻井 結花 明治学院大学, 国際学部, 研究員 (90549114)
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研究分担者 |
神田 良 明治学院大学, 経済学部, 教授 (90153030)
藤田 晶子 明治学院大学, 経済学部, 教授 (20227599)
鳥居 宏史 明治学院大学, 経済学部, 教授 (30139472)
稲山 健司 明治学院大学, 経済学部, 准教授 (20303042)
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キーワード | ワイン産業 / 豪州 / 香港 / 経営資源 / 競争優位性 |
研究概要 |
本プロジェクトの目的は、1990年代半ばから急速な発展を遂げ、グローバル・ワイン市場のメイン・プレーヤーとして台頭した豪州ワイン産業に着目し、後発国のグローバル戦略モデルを検証することである。また、一時的な成功ではなく、一旦確立した競争優位性を持続的な競争力へと結びつける戦略的な発想・企業行動についても体系的に理論化することである。世界的にブランド・ステータスのない企業および産業が、グローバル市場において競争優位性を確立する過程を丹念に調査・分析し、後発国ならではの海外市場、特にアジア市場への進出に関わる経営戦略についてサプライヤーおよびインポーター双方から包括的に分析することを試みた。 平成22年度から平成23年度は、主にワイン業界団体、豪州貿易促進庁のアジア圏事務局関係者へのインタビューを中心に、豪州ワイン産業のアジア圏市場における戦略についての調査を実施した。国内ではワインのインポーターや代理店へのインタビューを実施し、日本市場での課題を明らかにし、業界レベルでの今後の取り組みについて示唆した。豪州ワイン産業と新たな後発国との価格競争が熾烈化する一方、アジア圏特に日本市場においてブランド力の欠如から顧客価値を構築できず、先発国を凌駕することができない等の課題が明らかになった。今後は中小規模ワイナリーの個別戦略および地域力の活用が業界全体の持続的発展の鍵となることから、豪州ワイン産業の大多数を占める家族経営の中小ワイナリーを対象に、国際化と持続的発展に必要な経営資源の活用と競争優位性について調査を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクトの主な目的である世界的にブランド・ステータスのない企業および産業が、グローバル市場において競争優位性を確立する過程を丹念に調査・分析し、後発国ならではの海外市場、特にアジア市場への進出に関わる経営戦略についてサプライヤーおよびインポーター双方から包括的に分析するという目的に関しては、豪州ワイン産業の業界団体最大手のワイン・オーストラリアおよび貿易促進庁との香港でのインタビュー、また日本のインポーターとのインタビューを実施することができたので、総合的にはおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
計画当初は、平成24年度に消費者ニーズを把握するためのアンケートを実施する予定であったが、前年度までの調査において中小規模ワイナリーの個別戦略および地域力の活用が豪州ワイン業界全体の持続的発展の基盤となり、グローバル市場での競争優位性を高めるであろうとの仮説が導き出されたことから、主に家族経営の中小ワイナリーを対象とする定性的および定量的調査に変更をした。個別ワイナリーを対象としたインタビューでは、限られた経営資源を中小ワイナリーがどのように活用し、国際市場において競争優位性を確保することができるのかについて探求し、豪州ワイナリーの競争優位性確立におけるRBV理論の適合性の検証あるいはRBV理論をベースとした新たな理論を構築することを目標とする。 ワイン産地間の距離や公共交通網の不整備を考慮し、訪問ワイナリーの産地を2-3カ所に限定する。対象ワイナリーとの折衝については現地の海外研究協力者に依頼し、研究代表者及び分担者が現地調査を実施する。ワイン産地としては小規模でワイン大資本が介在していない地域、QLD州のGranite BelteおよびVIC州のBendigo地域を対象に調査をおこなう予定である。
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