本研究では労働集約的製造産業でありながら、高い競争力を維持してきた、福井県のめがね枠産業集積を研究対象として、その産業集積をとりまく制度環境およびメカニズムを明らかにするため、およそ3000分、155万字のインタビューデータ蓄積と、業界誌40年分の電子化およびテキスト分析、および1960年代からのパネルデータを作成した。その結果、これまで一般的にいわれてきためがね枠産地の苦戦の原因が、かならずしも海外からの低コストの輸入品のみに起因するのではなく、業界内の主体が環境変化に適応するための行動が非常にしにくくなるような制度環境にある可能性が高いと結論するに至った。
|