本年度は、以下の3つの研究実績を残すことができた。 (1)ICTの国際的性格と「ニッチ」の時代 ①ある商品の種類が増えると、よく売れる一部のヒット商品群とあまり売れない数多くのニッチ商品群に分かれる。このニッチな商品群を「ロングテール」と呼ぶ。②グローバルICT時代には、消費者は、自らの欲しいものを検索でき、購買できる。従って、「ロングテール」は、それ以前の時代よりも非常に長くなる。③この時代の特徴は、人々が商品を評価し、情報発信でき、自立的な消費者として行動することが歴史上初めて可能になることである。 (2)S.ハイマーの「グローバルヴィレッジ」について 多国籍企業理論の創始者であるS.ハイマー(197コミュニケーション技術の進歩は多国籍企業に権力を握らせることにはならないという見通しに関する見解を述べ、それが「グローバルヴィレッジによる多極的通信網」であると述べている。インターネットが普及する以前に書かれた彼のあまり知られていない叙述は、今日の企業と国家による国際的な競争優位構築の実相を理解する上で役立つ。特にBRICsを初めとした新興国の勃興、そして新興国企業の国際化を説明できる。 (3)インド・ソフトウエア産業の調査 2012年9月にインド・ソフトウエア産業の調査を行った。インドのソフトウェア産業は、リーマンショック後も順調に成長を続けており、国際的な注目を受けて来ている。そのビジネスの中心はグローバルなICTサービスとBPOビジネスであり、特に人材の育成と国際移動である。
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