本年度は、当初の研究目的のうち、「大学・研究機関におけるベンチャー企業創出プラットフォームモデルについて」を中心に検討を行った。また、「大学・研究機関におけるイノベーション人材の育成状況の検討」についても一部実施を行った。それらによる「成果」として「学会発表2件、研究会開催4回、雑誌論文1本、数件の発表機会」を得ることになった。 まず、日本における主要な大学・研究機関におけるベンチャー企業創出状況を調査した。データベース(東洋経済)を購入すると共に、別途人材・財務・知財を中心にデータの収集も実施した。特に本年度は研究機関の集積する「つくば」地区に焦点を当て、聞き取り調査を実施した。その成果発表及び、議論を行うため「つくばイノベーション&スタートアップス」研究会を実施した。特に「ポストドクター問題(イノベーション人材育成)」、「地域との関連からの大学研究機関発のベンチャー企業創出」、「アメリカの大学発ベンチャー実例」、「サービス科学からの検討」4つのテーマについて、ベンチャー企業論、イノベーション人材育成科学技術政策論等の専門研究者との議論を行ない、分析枠組みを明確化した。延べ80人に及ぶ専門家が研究会に参加し、それぞれの立場から活発な意見が述べられた。 秋口以降は欧州、米国での調査・発表活動も実施した。欧州では、ドイツ・ベネルクス・フランスにおける主要な大学、研究機関のベンチャー創出の状況の聞き取り調査を実施した。米国では全米技術移転者協会(AUTM)の年次大会での発表を行うとともに、サンフランシスコ地区の主要大学・国立研究機関に赴き、ベンチャー企業及びポスドクに関しての聞き取り調査を実施した。また、次年度に向け新たなネットワーク開拓や、成果発信に対する準備も行った。
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