研究課題/領域番号 |
22530448
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
木村 行雄 独立行政法人産業技術総合研究所, 企画本部, 総括主幹 (40392609)
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キーワード | 大学 / 公的研究機関 / ベンチャー / イノベーション人材 / アメリカ / 欧州 / つくば / ポスドク |
研究概要 |
当初の平成23年度の研究計画及び基本的な方針のうち、震災等の影響を受け、一部予定を変更した形で対応を行った。 (1)前半において実施予定だったアンケート調査は次年度実施し、枠組みそった各種事項を経済統計の手法を用いて検討する。 (2)理論的枠組みの研究に関しては、主に企業戦略論、ベンチャー経営論、人的資源管理、科学技術政策論、産学官連携論を中心に検討を行った。特に学会発表時や、出版などの際にこれらの成果の一部を披露した。 (3)11月に欧州の大学・研究機関や関連インキュベータ・財団を訪問し、現地調査を行い、3月にアメリカの大学を訪問した。日本事例に関しては、筑波地区の研究を研究会等を中心に行った。また、イノベーション人材育成に関しては、各事例を見ながら明らかにした。例えば早稲田大学事例や筑波大学事例などの検討を実施した((4)に掲載済み)。 (4)研究会は7月に日米の比較を中心に実施した。3月には調査結果の報告会を設定する代わりに書籍の出版、関連領域研究者の参加を得て、財団法人研究所の研究会にてアメリカの事例を発表し、それまでの調査で明らかにできたことを整理した。 本研究計画の3つの柱を再確認すると (1)大学・研究機関におけるベンチャー企業創出プラットフォームモデルの検討。日本、アメリカ、欧州の大学研究機関の実例を中心に、比較制度調査と分析。聞き取り調査と、専門研究者との議論設定。 (2)大学・研究機関におけるイノベーション人材の育成状況の検討。ポスドク人材の育成・活用を中心とした聞き取り調査、専門研究者との議論設定。 (3)公的研究機関における産学官連携システム、及び企業創出のための制度設計に対する政策提言。 を掲げているが、これらに向けた取り組みは順調であり、3月に出版した書籍で日本の「つくば地区」の状況を明らかにしたと共に、関係自治体である茨城県・つくば市の首長(橋本茨城県知事、上原つくば市長)をはじめ、各自治体、及び近隣自治体、経済産業省の関係者など多くの政策決定者へのこれを配布し、アピールを強力に行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、大学研究機関発の事例の訪問調査を中心とした事例研究は進んでいる。一方、定量的なデータ収集、アンケート等によるデータ作りは遅れ気味である。また、イノベーション人材育成に関しては、思った以上にデータが少ないことも明らかになった。事例を中心にこれまで学会発表、文献出版、シンクタンク等のペーパー、報告書等への掲載など外部への発信は積極的に行ってきたが、研究助成に相応しい、インプリケーションを抽出する作業を行うように取り組む必要性がある。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要で延べた、(1)大学・研究機関におけるベンチャー企業創出ブラットフォームモデルの検討、(2)大学・研究機関におけるイノベーション人材の育成状況の検討、(3)公的研究機関における産学官連携システム、及び企業創出のための制度設計に対する政策提言、を推進していくが、成果物が出来てきており、これらを基に、外部研究者と議論等も実施する。また、国内機関等の訪問も実施する。本年度において実施予定だったアンケート調査は次年度実施し、枠組みそった各種事項を経済統計の手法を用いて検討する。この際には、研究者や他の組織等の助力を得て、より効果的に多く対象からのアンケートを実施したい。データ分析を完成させ、論文を作成する等を行う予定である。広く海外にも今回の成果を発信したい。
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