研究課題/領域番号 |
22530449
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐野 享子 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (10334020)
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キーワード | プロセス型教育サービス / 相互制御関係 / 役割期待 / 役割の遂行 / 結果品質 / 過程品質 / 学習関係 / サービス・エンカウンター |
研究概要 |
今年度は、サービス・エンカウンターに関する先行研究の分析に焦点を当てるとともに、係る分析結果を踏まえた本研究における実証分析の枠組みの検討及び実証分析のための予備的な分析を行った。 先行研究から得られた知見をもとに、本研究では、教育サービス提供者(教師)とサービス享受者(生徒)の間の相互制御関係とサービス提供の成果との関係を明らかにするため、あらかじめ決められた教育内容・教育方法を用いて教育サービスを提供するのではなく、教師と生徒の相互作用の過程で教育内容・教育方法が漸次明確になっていく「プロセス型教育サービス」を分析の対象とすることとした。 具体的には、教育実習生に対する実習指導のプロセスを対象とした談話分析を行って、教師及び生徒の制御行動のタイプ及びその組み合わせ(=教師・生徒間の相互制御関係)と成果との関係を明らかにすることとし、成果の指標として、(1)教師・生徒間の相互理解の程度、(2)期待された役割遂行の程度、(3)教育効果に対する満足度(結果品質)、(4)教師に対する満足度(過程品質)の4点を設定した。(1)は本研究の問題関心となっている「学習関係」を測定する尺度であり、教師・生徒間のいかなる相互制御関係が、どのように両者の「学習関係」を規定し、またそれら「学習関係」が、生徒・教師の各々に期待された役割の遂行を介して、結果品質と過程品質に与える影響を明らかにすることとした。 以上の分析枠組みに基づいて、既存の実習記録を素材とした談話分析を試み、本調査におけるデータ収集に備えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サービス・エンカウンターの先行研究の収集・分析から多くの知見が得られたことにより、本研究における分析枠組み及び研究方法を精緻化することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、大学エクステンションセンターとカルチャーセンターの講座をそれぞれ分析対象として考えていたが、先行研究の検討の結果、サービス・エンカウンターのタイプをより多様に抽出することが可能となる1対1のサービス提供場面を分析対象とすることが必要となることが分かり、教育実習の場面を新たに分析対象とすることとした。 具体的には、指導力が高いことで定評のある筑波大学附属学校の教員を対象として、生徒との学習関係構築に関して熟達したベテラン教員群と、指導経験が浅い教員群との比較を行うこととした。これまでに事前説明会の開催などデータ収集の準備を入念に行っていることから、今後のデータ収集と分析は円滑に進む予定である。
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