研究課題/領域番号 |
22530453
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研究機関 | 北海道薬科大学 |
研究代表者 |
櫻井 秀彦 北海道薬科大学, 薬学部, 教授 (70326560)
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研究分担者 |
早瀬 幸俊 北海道薬科大学, 薬学部, 教授 (30112585)
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キーワード | サービス品質 / 情報の非対称性 / 知覚水準 / 専門サービス |
研究概要 |
今年度は、2年目調査として、実際のサービス・エンカウンターでの専門サービス提供場面における情報の非対称性に関する調査を実施した。専門サービスの一事例として、保険薬局の薬剤師が提供する医療サービス(服薬指導)に焦点をあて、これの消費者(患者)側ならびに提供者(薬剤師)側の知覚水準を問う調査を実施した。具体的には、ハイリスクとされている糖尿病用薬、抗血栓薬、骨粗鬆症薬の計3種類の薬剤に関する情報提供サービスを対象とし、薬剤や患者属性の違いを基に、薬剤そのものの情報(効果・副作用他)、服用に関する情報(服用方法・相互作用)、患者情報(体質・検査値等モニタリング項目)の需給双方の情報の授受に関する知覚水準の検討の他、服薬コンプライアンス尺度、患者満足度尺度などどの関連性を探った。調査規模は北海道から中国地方までの13の薬局企業の協力が得られ、多変量解析に必要とされる数百レベルのサンプル数を薬剤ごとに確保できた。詳細な検討はこれからであるが、現時点では需給双方の知覚水準ギャップの大きな項目や、需給両サイドの知覚水準の高低が逆転する項目について、共通するものと薬剤ごとで異なるものが観測された。これらについては、今後現場薬剤師の意見を参考にしつつ分析を進めるとともに、服薬コンプライアンス尺度や患者満足度などへの影響要因に関する解析を行っていく予定である。 また、初年度調査のデータについては、更に詳細な解析を加えて、学会発表ならびに論文化を進めた。学会発表では、マーケティングや医療経済学だけでなく、医学・薬学系学会での発表も積極的に行い、コア・サービス要素の総合評価への影響度に関する解釈など、多くの示唆を受けた。また、6月の米国での国際学会の発表も採択されている。論文化も分析目的ごとに複数の学術誌に投稿を済ませている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・平成23年度に行う予定であった2回目調査は、H24年2月~3月にかけて実施された。 ・調査内容も、3種類の薬剤ごとに、サービスの消費者(患者)とサービス提供者(服薬指導に当たった薬剤師)のマッチングデータを取る当初の計画通り進められた。 ・収集件数は、目標であった薬剤ごとで数百件の規模を達成。 ・平成24年での成果の公表に関しても、6月の国際学会の発表が2月に採択されている。
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今後の研究の推進方策 |
・初年度(H22年)調査結果に関しては、投稿中のもの含め論文としての成果公表に尽力したい。 ・2年目(H23年度)調査はデータの分析を進め、学会発表を通じて論文化を進めるとともに、最終年度の目標である、データフィードバック後のサービス改善のオペレーションに関する調査を進めて行きたい。
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