研究課題
最終年度は、1年目と2年目調査のデータ分析を進め、査読付論文として公刊することができた。1.22年度分調査データ情報の非対称性が不可避である専門サービスの一事例として、薬剤師の服薬指導を対象とし、知覚品質評価と行動意図に関する実証研究を行った。「促進情報提供」、「注意情報提供」、「情報有形性」、「顧客理解」の評価次元を想定し、情報の非対称性の状況(薬局、薬剤師、処方薬、疾病が初めてか否か等)ごとに総合評価への影響を共分散構造分析で検討した。結果、情報の非対称性の状況によって評価構造に相違が見られた。具体的には、薬や薬剤師が初めての場合に「促進情報提供」の影響が高まり、急性期で薬が初めての場合は評価のウェイトが他の状況と異なること、慢性期の場合は薬の経験は評価のウェイトにあまり影響しないこと、また、同じ薬剤師との接触機会が増えることで薬剤師の総合評価からの行動意図への影響が大きくなることなどが明らかとなった。よって、人的専門サービスの知覚品質評価の構造に関しては、情報の非対称性の状況を考慮に入れた議論の必要性が実証された。2.23年度分調査データ薬局薬剤師からの外来患者への種々の情報提供と患者モニタリングに関するサービスに関して、需要サイド・供給サイド双方へ同じ設問項目による質問紙調査を行った。比較的リスクが高いとされる糖尿病用薬、抗血栓薬、骨粗鬆症用薬の服薬指導を評価対象として、その需給両サイドの突合データを分析した。3剤とも患者と薬剤師の間で情報量の認識ギャップが大きいものは、飲み忘れ、飲み合わせ、生活上の注意点、検査値に関する項目であった。薬剤情報、服用情報、患者情報、全体評価に関する重回帰分析による評価構造は、主体間で大きく異なった。これらの知覚ギャップや評価構造を認識して専門サービスの改善を図ることが、薬物療法の適正化に貢献すると示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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生活経済学研究
巻: 37 ページ: 41-57
オペレーションズ・マネジメント&ストラテジー学会論文誌
巻: 4 ページ: 76-94