研究概要 |
研究計画に従い、ユーザーと一体になって使用する、ユーザーの動作の中で価値を生み出す製品に焦点をあて、調査および考察をおこなった。 研究実績の具体的内容 ユーザーによるイノベーションを活用することでイノベーションを促進する方法が、リード・ユーザー法(Hippel 1988)である。この方法は、価値創発を伴う革新的イノベーションの発生傾向が高い(Hippel 1988,2005)が、その発見は容易ではない(Hippel 2005, 小川 2006)。リード・ユーザー発見の手がかりを得るため、「エクストリーム・ユーザー」と呼ぶユーザーに注目し調査、考察を行った。 エクストリーム・ユーザーは一般ユーザーでは経験できない特殊(極端)な状況で製品を使用するニーズを持ち、リード・ユーザーとなりうる場合がある(Luthje et al 2003, Hippel 2005)。そこで、(1)ユーザーと一体になって使用される製品、(2)ユーザーの動作の中で価値を生み出す製品という、二つの条件を満たす製品を対象とした開発プロセスの調査をもとに、エクストリーム・ユーザーの発見枠組みを提示した。 意義 エクストリーム・ユーザーの存在そのものは先行研究で指摘されていた(Hippel 2005, Brown 2010)。しかし、その具体的活動や、リード・ユーザーとの違いについて明確な説明がなされていなかった。 本研究の意義は、エクストリーム・ユーザーを以下の二つの次元で捉えることで、その発見が容易になることである。 1)ユーザーの身体能力における「標準」ユーザーとの乖離 2)ユーザーの製品使用条件における「標準」ユーザーとの乖離。(ここで言う、「標準」ユーザーとは開発組織が日常的に設定しているユーザー)
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