2000年代以降、欧米先進国の港湾は、(1)高度な次世代コンテナターミナルの開発、(2)ロジスティクスパークの形成、(3)背後圏へのアクセス強化等を図り、国際競争力を強化している。 そこで、本研究では、国境を越えた広域経済圏が形成されつつある北部九州地域と韓国東南部地域との産業連携の中でロジスティクスポートのあり方を実証研究している。 平成24年度は、平成22年度と平成23年度に実施した北部九州地域および韓国東南部地域での実態調査や既存データの再整理と港湾を軸とした日韓間のロジスティクスネットワークの構築を行うことを目的とした。 これまでの研究の結果、両地域において共通産業である「自動車部品物流」において、連携可能性を検証することができた。具体的には、(1)中国向け自動車部品の共同輸送、(2)中国・韓国からの自動車部品の共同輸送、(3)日韓共同物流センターの建設、である。また、産業連携を軸としたロジスティクスネットワークを構築する上での課題は、物流および産業政策の2つの視点がある。物流面では、港頭地区における通関処理の迅速化とシャーシの相互通行問題である。近年、関税法等の改正により「車上通関」が認められたこと、日中韓物流大臣会合により釜山~下関港航路を利用したシャーシの相互通行が可能となったこと、など改善が図られている。しかし、中国との相互通行はこれからである。産業政策の面では、港湾背後地において、単なる臨海工業団地の整備ではなく、様々な産業クラスターの形成が行えるような仕組みづくりが重要である。また、北部九州港湾は、東アジア対応ロジスティクス型として整備する必要があるとしている。
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