本研究は、国際監査基準(ISA:International Standards on Auditing)において、IOSCO(証券監督者国際機構)の求めてきた基準本文の改善プロジェクト(いわゆる明瞭性(クラリファイ)プロジェクト)が完成し、今後国際監査基準が我が国に導入されることが決定的となっている中で、その公的部門の監査基準との関係、影響を、我が国の場合を念頭に置いて国際比較研究を行うものである。本年は、本研究の最終年度であり、前年度までの国内外の実態調査および収集した資料をふまえ、研究のまとめ、総括を行った。前年に引き続き追加的に国際的な政府・非営利組織監査基準等に関する資料を収集し、分析し、これに関連して6月にはアメリカ・ボストンで開催された国際カンファレンス、SASE(Society for the Advancement of Socio-Economics)の非営利組織会計にかかわるセッションに参加している。 さらに、研究成果の一部として本年度において研究論文、雑誌記事等を執筆しており、これらの中では、特に国際監査基準と会計倫理の問題、さらには、国際会計基準(IFRS)との関係で検討されるべき国際監査基準の問題等を取り扱っている。 特に、問題として考えられるべきは公監査の面でその必要性があるにもかかわらず研究が少なく、我が国に統一的な基盤となる公監査基準がない中で、国際標準に見合った公監査基準とはいかなるものかを、検討することにあるが、本研究では、具体的事例研究棟を等して、そのあるべきモデル、および実務に対して1つの指針、方向性を示すこととなった。
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