研究室に所属する学生、杉村哲平と一緒に以下の研究を行った。まず、1990年代と2000年代における株主集団訴訟を、判例データベースを用いて抽出し、サンプル企業の特徴について調べた。次にそのサンプル企業と同業種、同規模かつ同上場市場で株主代表訴訟を起こされていない企業をコントロール企業として抽出した(マッチド・ペア法)。そしてサンプル企業・コントロール企業両方の財務データを取得し、それらの財務項目に関して単変量分析、および多変量分析を行った。全体の結果を総括すると、被訴訟企業の特徴として(1)規模の大きい企業である、(2)経営が不安定である、(3)利益率が低い、という点があげられる。(1)については、米国における先行研究同様、訴訟の対象企業が大規模なほど賠償金額も大きくなるので訴訟対象になりやすいことによるものであると考えられる。また、(2)、(3)に関しては、企業経営上問題のある企業が、訴訟対象となりやすいことが理由として考えられる。
|