研究課題/領域番号 |
22530478
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山本 達司 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (80191419)
|
研究分担者 |
加藤 英明 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (80177435)
中條 良美 阪南大学, 経営情報学部, 准教授 (00387383)
高橋 陽二 岐阜聖徳学園大学, 経済情報学部, 専任講師 (20566533)
|
キーワード | 新規株式公開 / IPO / 投資家のセンチメント / 行動ファイナンス |
研究概要 |
店頭市場の入札方式下のIPO企業を対象に、新規店頭公開時の投資家センチメント(応札倍率、価格乖離率)が、価格形成に与える影響を検証した。投資家センチメントが大きい場合、IPO株のアンダープライシングが大きくなることが明らかになった。しかしながら、投資家センチメントが公開後の株価パフォーマンス、ボラティリティに与える影響は限定的である。また、(1)アンダープライシングが大きい銘柄であるほど応募過多が起こる。(2)応札倍率が大きいほど、公開後の所有構造が分散している。(3)アンダープライシングが大きくなるほど、公開後の所有構造が分散されている、(4)公開後の所有構造の分散化が公開後の流動性に影響することが明らかになった。 次に、アカデミックIPO企業を対象に、ベンチャーキャピタルの役割(ハンズオン投資、とりわけVCによる役員派遣)を検討した。アカデミックベンチャーにおいて、VCによる役員派遣は頻繁に行われている。VCのハンズオン投資としての役割は大きいものの、情報通信と医療・バイオという業種の違いによって求められるものは異なる。また、ベンチャーキャピタリストの特徴である(1)コーチ役としての能力、(2)専門経営者の採用を含む強い経営チームの組成という2つの論点を、日米の事例を検討することによって、その違いを明らかにした。日本のベンチャーキャピタリストは、コーチ役としての役割を果たしているものの、アメリカのように投資先企業を急成長させるようなハンズオン投資を実践してきたとは評価しにくい。また、強い経営チームの組成という観点でも、ベンチャーキャピタリストが主導的な役割を果たしてきたわけではない。
|