本年度は、近隣自治体間比較の可能性に関する補足的なインタビュー調査、協力自治体における相対評価の試行的導入研究を行った。また、これまでの研究成果の取りまとめを行い、英文著書、海外論文、国内論文の執筆を行った。 近隣自治体間比較の可能性については、群馬県の取組みについて調査を行った。県内の基礎自治体間比較の試行において相対比較を行うことで、各自治体の抱える見えなかった課題を明らかにすることができる可能性が認められた。他方、対外的に公表するためには充実した要因分析が必要になることがわかった。このようなケースを増やしていく重要性が認められたことから、協力自治体を増やす計画を立案しいくつかの自治体との交渉を行った。 自治体内における相対比較については、大阪府八尾市の協力を得て、試行的導入を行い、一定の効果が認められたことから、制度的な定着化にむけた仕組み作りに移行することができた。自治体間比較と同様、見えなかった課題、事業の重要性を明らかにすることができる効果があるだけでなく、組織間のコミュニケーション、相互作用が活性化することが認められ事業の改善や予算措置に向けた各部門担当者の意識向上が認められた。他方、この仕組みを円滑に導入し相対評価を予算編成に関連付けることを可能とするためには、市長の理解を得ることが重要であり、市長の理解と協力を得られることで効果が高まることが明らかになった。
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