研究課題/領域番号 |
22530483
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
宮脇 秀貴 香川大学, 経済学部, 准教授 (20294746)
|
キーワード | エンパワーメント / ニューロン / 記憶の再構成 / 共感覚 |
研究概要 |
本研究は、従来のエンパワーメント研究では解明されてこなかった「経営理念・組織文化」と「組織成員」のインターラクションプロセスの解明に重点を置き、それを、ホメオスタシスのフィードバック関係や記憶の再構成等を引き起こす脳の神経細胞である「ニューロン」の特質や性質を用いた脳科学の視点から考察することを目的としている。本年度は、本研究の流れ(「文献レビュー・フレームワークの構築」→「アンケート調査」→「インタビュー調査」→「再評価・再解釈」)の中の2年目にあたり、新規文献を整理し、検討を加え、既存文献のレビュー結果とともに、理論的フレームワークの構築の下準備を、継続して行うことが主な目的であった。なお、レビューの視点は、ニューロンへの働きかけを用いたマネジメントにどのように関わるかである。 まず、組織(経営理念と組織文化)と組織成員のミスマッチの出現プロセスを、人間の組織と癌細胞の関係や免疫機構(自然免疫と獲得免疫)とワクチンの関係から捉え直し、全体は部分の総和以上であるという生命論的パラダイムを用いて、組織と組織成員のインターラクションがスムーズでなくても、それは大きな環の中では、循環プロセスとして存在し、両者間のインターラクションが良い、あるいは悪い方向へ向かうきつかけを考察している。 次に、邦・洋を問わず、脳科学に関するさらに新しいテーマに関して、例えば、共感覚、ソーシャルブレイン(社会脳)、錯覚の科学、異彩を放つ障害児の感覚などに関する文献を収集し、より組織成員とのインターラクションのプロセスを解明できる要因を探ることにした。特に、共感覚や錯覚、異彩を放つ障害児の感覚を考察することで、なぜ、組織(経営理念と組織文化)と組織成員がインターラクションできるかという根本的な現象のプロセスを解明しようと試みている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
なぜなら、研究の全体的なフレームワーク作りをより理論的・多面的に進めようと思い、さらに新しい脳科学の分野の新規文献、例えば、共感覚、ソーシャルブレイン(社会脳)、錯覚の科学、異彩を放つ障害児の感覚などに関する文献を収集し、理解・整理するために時間がかかっているからである。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、例えば、ミラーニューロンなどの文献から、組織成員とインターラクションを意図的に取ることができる要因を見つけることはできても、その要因がなぜ、どのように引き起こされるのかまでは解明できなかったため、脳科学分野の新規文献を精読し、整理・検討することで、予定よりも時間が必要になった感は否めないが、しかし、このステップを踏んだことで、逆に、フレームワークの構築にスムーズに取り組むことができ、より研究が深まったと考えられるため、速やかに文献レビューを行い、フレームワーク作りに取り組むことで対応したい。
|