研究課題/領域番号 |
22530483
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
宮脇 秀貴 香川大学, 経済学部, 准教授 (20294746)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | エンパワーメント / ニューロン / 管理会計 |
研究概要 |
本研究は、従来のエンパワーメント研究では解明されてこなかった「経営理念・組織文化」と「組織成員」のインターラクションプロセスの解明に重点を置き、それを、ホメオスタシスのフィードバック関係や記憶の再構成等を引き起こす脳の神経細胞である「ニューロン」の特質や性質を用いた脳科学の視点から考察することを目的としている。 本年度は、本研究の流れ(「文献レビュー・フレームワークの構築」→「アンケート調査」→「インタビュー調査」→「再評価・再解釈」)の中の3年目にあたり、昨年度に引き続き、新規文献を整理し、検討を加え、既存文献のレビュー結果とともに、理論的フレームワークの構築の下準備を、継続して行うことが主な目的であった。 今年度は、人と人の関わりを捉える視点として、人が人と協働し、共創していく力を司る脳神経細胞(ニューロン)を育むための要素を、乳児から幼少期にかけての親(母親)と子供の関係性の中で形成される脳細胞神経(ニューロン)に焦点を当てて考察している。ここでは、人と何かを共にやっていく能力は、少し言い換えると、人のために何かをしてあげようと思う能力は、乳児期から幼少期にかけて、まずは自分自身が何もなくても親や周りから愛される存在であると確証を持つことが重要となる。そして、何度も親や周りの人から思ってもらえる経験を繰り返し、自分が思ってもらった経験から、人を思うことができるようになる。つまり、会社や集団の中で、人と上手く交わることができない人の多くは、乳児期や幼少期に思ってもらった経験が少なく、人を思いやるための脳神経細胞(ニューロン)のネットワークの構築が十分に発育していないと考えられる。従って、どんなにお尻を叩いても、褒めてみても、人と協働・共創する力を育むことは難しいため、人に思いやってもらう経験を十分に重ねさせ、人と共に歩む機会を醸成し、自発性を支援することが必要となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
なぜなら、一昨年・昨年に引き続き、新しい脳科学の分野の新規文献、例えば、共感覚、ソーシャルブレイン(社会脳)、錯覚の科学、異彩を放つ障害児の感覚などに加えて、乳児・幼児の心理やコミュニケーションの発達過程などに関する文献も数多く収集したものの、理解・整理するために時間が予想以上にかかっているからである。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、時間はかかるかもしれないが、地道に、脳科学分野の新規文献を精読し、整理・検討することが、研究を推進させるための近道だと考えている。この作業により、研究対象を見る視点が多面的あるいは複眼的となり、どのように組織と組織成員もしくは組織成員間のインターラクションがとられているかという心因だけでなく、そのようなインターラクションを育むための理論や方策を考えることができつつあるからである。したがって、この作業を地道に続けて行くことが、フレームワークの構築のための研究を深めることにつながることとなるので、できるだけ速やかに文献レビューを行い、フレームワーク作りに取り組むことで対応したい。また、アンケートあるいはインタビュー調査を前倒しで行うことによって、フレームワークの要素を探り出すことも考えている。
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