研究課題/領域番号 |
22530483
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
宮脇 秀貴 香川大学, 経済学部, 准教授 (20294746)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | エンパワーメント / ニューロン / 獲得免疫 |
研究概要 |
本年度は、本研究の流れ(「文献レビュー・フレームワークの構築」→「アンケート調査」→「インタビュー調査」→「再評価・再解釈」)の中の4年目にあたり、昨年度に引き続き、新規文献を整理し、検討を加え、既存文献のレビュー結果も基に、理論的フレームワークの構築の下準備を継続して行うことが主な目的であった。 本年度は、人と人の関わりを捉える視点として、組織成員の集合体である組織が持つ「組織の免疫力」に焦点を当てて考察している。ここでは、人の体に備わる獲得免疫の原理である「1度病気にかかれば免疫ができ、発症しないあるいは軽症で済む」を基に、人工的に獲得免疫を得ようとする予防接種に対する様々な見解を3つに類型化し、組織現象に当てはめることにした。3つの類型とは、(A)予防接種により獲得免疫が得られる、(B)限定的に得られる、(C)得られないの3つのタイプである。組織は、様々な企業環境の脅威に対して常に免疫(適応性)を獲得しようと、例えば、会議や研修、飲み会、その他のつながりの構築を行って、対応・適応しようとしている。本年度は、1995年にアメリカのR.Cooperの著書の中でケース事例として紹介されているある日本企業を選択し、その取り組み(脅威を見据えて、脅威・目標を設定し、小さい集団をエンパワーし革新・改善を進めるもの)を分析対象にした。1995年の段階でエンパワーメントによって革新的にコストマネジメントを行っており、その様子は、上記の(A)タイプと考えられ、環境からの脅威に対して獲得免疫をつけ続けようとするものである。今後は、人工的な獲得免疫をつける方策で組織が環境に適応し続けられたかを、該当企業と経済状況との時系列の関係性の整理やインタビュー調査を行うことで、獲得免疫の有効性や獲得プロセスを解明し、そこから、組織成員のエンパワーメントと組織の獲得免疫との関係を探っていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
なぜなら、新しい脳科学の分野の新規に収集した数多くの文献(例えば、共感覚、ソーシャルブレイン(社会脳)、錯覚の科学、異彩を放つ障害児の感覚、乳児・幼児の心理やコミュニケーションの発達過程など)の読み込み・理解に多大な時間が必要となっており、また、これまでの文献を整理する時間も予想以上にかかっているからである。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年に引き続き、時間はかかるかもしれないが、地道に、脳科学分野の新規文献を精読し、整理・検討するとともに、平成25年度までの成果によって導き出したニューロエンパワーメントのいくつかの視点を頼りに、実務のエンパワーメントやケース文献、既存研究の再評価・再解釈を行っていくことで、データの整理を進めることができ、今後の方向性を見出すことができると考えている。したがって、この作業を地道に続けて行くことが、理論的なフレームワークの構築への近道であり、研究を深めることにつながると考えられるため、できるだけ速やかに文献レビューを行いつつ、これまでの研究で得られた視点を用いて調査を進めていくことで対応したいと考えている。
|