• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

社会的資源配分機能を考慮した日中韓の会計計算構造の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22530484
研究機関長崎大学

研究代表者

岡田 裕正  長崎大学, 経済学部, 教授 (40201983)

キーワード資産負債アプローチ / 収益費用アプローチ / 利害調整機能 / 情報提供機能 / 計算構造
研究概要

平成23年度は、会計の損益計算の技術的計算構造に社会的側面を取り込む枠組みを中心に研究した。このため、九州大学角ヶ谷教授の研究に協力させていただき、会計を取り巻く要素として、会計の歴史的発展の側面、会計規制に関する法的側面、会計の実施主体である企業を取り巻く経済的側面、会計を利用した政治的側面の4つに分けて研究する枠組みを考えた。現代の会計の情報提供機能から考えた場合、投資家の意思決定に有用な情報として、企業のキャッシュフロー生成能力を表示することが社会的に要求されている。この社会的要求(社会的側面)を取り入れた計算構造は、資産や負債等の評価に関連すると思われる。そこで、米国の歴史を参考に、純粋な取得原価主義会計が少しずつ変容して、現在の公正価値会計や現在価値会計になっていく過程を示し、日本もほぼ同様の過程をたどっていることなどを示した。また、IFRSの導入に伴い重視される会計計算構造外の情報(財務諸表外の注記)による実態開示も無視できないと考え、中国及び日本企業の投資リスク情報の提供について調査した。
会計計算構造への社会的側面を組み入れるという本研究の意義は、昨年6月の日本におけるIFRS強制適用の決定時期の先延ばしの決定の考察などにも役立つと思われる。これは、表面的には、政治的側面の現れである。しかし、その背後には、利害調整機能と情報提供機能という二つの機能の対立があると考えられる。
なお、本年度は、前年度に明らかにした資産負債アプローチと収益費用アプローチの計算構造の技術的側面に関する研究成果を、平成23年9月に開催された日本会計研究学会の自由論題で報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

学部長就任による研究時間の減少、2011年における韓国のIFRSアドプションによる会計制度の変更による現状理解の不十分さ、中国韓国における直接金融・間接金融の構造分析に必要な情報入手の遅延などがその理由である。

今後の研究の推進方策

最終年度となるので、日中韓三国の会計計算構造の特徴を鮮明にするため、まず各国の会社法(商法)における利害調整機能に焦点を当てた計算構造の分析を、金融商品取引法(証券法)における情報提供機能との関連で行うことを優先する。その後、法人税法に基づく課税所得計算についての分析を実施していきたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The Case for Economic and Accounting Dualism : Towards Reconciling the Japanese Accounting System with Global Trend of Fair Value Accounting2011

    • 著者名/発表者名
      Noriyuki Tsunogaya, Hiromasa Okada, Chris Partel
    • 雑誌名

      Accounting, Economics, and Law

      巻: Vol.1, Issue2 ページ: 1-53

    • DOI

      10.2202/2152-2820.1009

    • 査読あり
  • [学会発表] 二つの損益観における損益計算構造2011

    • 著者名/発表者名
      岡田裕正
    • 学会等名
      日本会計研究学会第70回大会
    • 発表場所
      久留米大学
    • 年月日
      2011-09-18

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi