本研究は、「製品・サービスの価値向上を意図して、製造業の製品開発でイノベーションを図る感性コストマネジメントをさらにサービスにも適用してイノベーション型感性コストマネジメントに進展させるとともに、あわせて戦略的業績評価と結びつけることで収益力向上に結びつく製品・サービスのコストマネジメントの新たな枠組みを構築すること」を目的とする。そのために、製品とサービスの顧客満足に結びつく評価構造と評価項目を検討し、イノベーション促進の観点から、原価企画における支援技法である感性コストマネジメントの改善と展開を行い、戦略的業績評価を取り入れた製品・サービスのコストマネジメントの枠組みを究明する。 本年度は、計画初年度として、製品やサービスの企画開発段階でのコンセプトづくりを中心とした先行研究の文献調査を行いながら、製造業の製品開発プロセスにおける原価企画活動の研究会を通じて、国内有力企業の新製品開発動向についての調査を中心に進めた。当初予定していた一般的なアンケート調査では把握できない実態が確認できたことに大きな意義がある。一方で、製造業と比較してサービス業での特徴を明らかにするため、サービス業の一種として医療機関のサービスに関する関連アンケート調査も行った。さらに海外の状況について研究者と意見交換を実施した。また製造業の製品開発でイノベーションを図る感性コストマネジメントをさらにサービスにも適用してイノベーション型感性コストマネジメントに進展させるためのアクション・リサーチの協力企業の探索を行い、サービス企業の協力を得ることができた。当該企業の顧客アンケート調査の結果を利用できることは研究上重要なことであり、サービスの顧客満足に結びつく評価構造と評価項目を検討する次年度以降の実施計画の具体的検討を進めた。
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