研究概要 |
○具体的内容 ・米国で行われている非営利組織(NPO)の会計情報と寄付金に関する実証分析の先行研究をレビューして、分析モデル、分析サンプル、使用データ、分析に用いた統計的手法等について検討した。 ・広島県に提出されている特定非営利活動法人(NPO法人)の会計報告書について、データベース化を行った(2006年度から2008年度分)。 ・作成したデータベースをもとに、NPO法人の会計情報と寄付金との関連性について、寄付金受領の有無(1,0)を被説明変数とするプロビット分析を行った。 ・その結果、説明変数として、事業費比率(;事業費/総経常支出額)、正味財産比率(=正味財産/総経常収入額)などが寄付金の有無と大きく関連していることが明らかとなった。 ・さらに、次年度に実施を予定している実験的研究のための予備調査を行った。 ○意義・重要性 企業会計研究の分野においては、資本市場でのプライシングと会計情報の関連性に関する実証分析が積み重ねられ、多くの知見を得ている。一方、わが国の非営利会計研究の分野においては、会計情報の有用性に関する本格的な実証分析はまだ実施されていない。本研究は、分析対象が広島県内のNPO法人だけというパイロットテストではあるが、寄付者の意思決定において会計情報が利用されている可能性が高いという「証拠」を提示できた。すなわち、非営利会計研究の分野においても実証分析を積み重ねて、新たな知見を獲得できる可能性があることを示すことができた。
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