研究概要 |
本研究はイノベーションを生み出すための企業における仕組みをマネジメント・コントロールの視点で検討することを目的としてきた。かつて両者は両立しないといわれてきたが,企業において渇望されるイノベーションの発生を,偶然を待つのではなく,組織で生み出す土壌を仕組みとして創ることが必要であるという認識は研究者の中にも高まり,近年研究が進みだしている。そこで,インターラクティブ・コントロール(Simons,1995)およびインターラクティブ・ネットワーク(Simons,2005)をキーワードとし,イノベーションを誘導するための新しいマネジメント・コントロール概念を,申請者がこれまで研究してきた日本企業の経営がもつ特色を踏まえ,管理会計のみならず,組織および組織行動の分野の知見をまじえて考察することを試みてきた。 具体的には昨年度末に行った定量的調査の分析を進めるとともに,インタビュー調査による定性的調査も行い,実際の企業におけるケースなどを作成した。また,定量的調査結果については,特にイノベーションを促進するためのインターラィテクティブ・ネットワークと実際の企業におけるネットワーク活動との関係に焦点を絞った検討を行った。この結果は2012年11月17日に金沢星稜大学で行われた経営情報学会にて学会発表を行っている。 本研究の結果は,慶應義塾大学ビジネススクールのケースとしてすでに登録したものもあるが,今後も書籍,論文などにより公刊していく予定である。 なお,上記参考文献は,Simons, R.の著書, Levers of Control(1995)および Levers of organization design(2005)(いずれも Harvard Business School Press)である。
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