研究課題/領域番号 |
22530498
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
清水 信匡 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (90216094)
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キーワード | 戦略不全企業 / マイルズ=スノオ理論 / 防衛型企業 / 探索型企業 / 分析型企業 / アンケート調査 / 設備投資予算 / 受身型企業 |
研究概要 |
本研究の目的は、(1)戦略不全企業(受身型)の特徴を、健全企業(防衛型、探索型、分析型)と比較して、業績管理の側面から企業へのアンケート調査によって実証的に明らかにするとともに、(2)戦略不全の状態から機能回復を果たした企業に対してインタビュー調査を行うことによって、回復プロセスを業績管理の側面から明らかにすることである。本研究では、戦略不全企業に焦点を絞り、そのような企業がいかに健全な企業へと回復できるかの糸口を業績管理の側面から探り出すことを目的とする。2011年度の研究実績をまとめれば以下の2点に集約される。 1)質問票調査実施 前年度に引き続き質問項目を作成し、2011年9月10月において、建設と電力を除く東証一部上場製造業824社に対しての質問票調査を行った。有効な回答をした企業は、65社であり、全体の7.62%(65社/853社)にしか過ぎなかった。この低い回答率は震災とヨーロッパの金融危機の影響のせいであろう。回答企業を戦略タイプ別に分けると、防衛型:16社、探索型:7社、分析型:34社、受身型:8社であった。最終年度2012年には、2009年度の調査結果と併せて、戦略不全企業の特徴を戦略健全企業と比較しながら、業績管理の側面から分析を行う予定である。 2)戦略タイプと設備投資の経済性評価技法との関係を分析 戦略不全企業の特徴を浮かび上がらせるためには、戦略健全企業の分析も欠かせない。2009年度調査の結果を使い、経済性評価技法の選択を事業環境の影響と事業の戦略タイプの相違によって説明を試みた。事業環境の影響では、(1)環境の複雑性、(2)不確実性、(3)生産ラインの自動化が評価技法の選択に影響していることがわかった。事業の戦略タイプとの関係では、分析型タイプであるかどうかが評価技法の選択に影響していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に質問票調査を行い、分析に必要なデータを確保した。あとは、分析で良い結果がでるかどうかにかかっている。また、戦略不全企業へのインタビュー調査は若干の遅れはあるものの、2009年度の調査結果と併せて、戦略不全企業へインタビューを依頼すれば受け入れてくれる企業があるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
2009年度調査(基盤研究(B)19330097)の結果と本年度の調査の結果と併せて、戦賂不全企業を健全企業から分けるとともに、財務的視点・業績管理の視点から戦略健全企業と比較して、戦略不全企業の特微を明らかにする。また、戦略不全企業へのインタビュー調査により、戦略不全からの機能を回復するプロセスの概要を聞き取る。
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