研究課題
国際的な研究調査ならびに企業実務での有用性という観点からの実態調査を通して、環境管理会計手法であるマテリアルフローコスト会計(MFCA)の国際展開において重要となる課題の析出をすることとした。特に、2010年度は、MFCAのISO化(ISO14051)において、国際規格のドラフト(DIS)から最終ドラフト(FDIS)を作成する重要な年でもあった。MFCAのISO化の検討事項の中で、内部リサイクル材のコスト評価に関して理論的かつ実務的研究の必要性が議論された。本年度は、このような背景から、特に、内部リサイクル材のコスト評価に関して、国際的な共同研究ならびに実務的検討を重ねることとした。その結果、内部リサイクル材のコスト評価に関して、意見が異なるドイツの研究者との議論を重ねるとともに、その研究成果の一部を、ドイツの雑誌に投稿することが出来た。これにより、ドイツ語圏でのMFCAの理解と普及がより進展すると考えられる。また、本テーマは、学術的な原価計算研究においても重要な事項であり、企業事例における内部リサイクル材のコスト評価に関する実務を理論的に整理し、既存の原価計算の課題を明示するとともに、MFCAと一般的な原価計算との理論的な相違を明らかにした。なお、ひとつの研究成果として、日本原価計算研究学会の査読論文として投稿し、受理され、機関雑誌に掲載された。これまではMFCAが材料の無駄を削減し、材料費を削減する手法として注目されてきた。しかし、今後の国際的な展開において、CO2排出情報などの環境影響情報とより連携した環境管理会計手法としての発展が必要であることが本年度の研究によって明らかとなった。次年度の研究課題として、より環境情報を強化したMFCAの研究調査を実施する予定である。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
原価計算研究(日本原価計算研究学会)
巻: Vol.35, No.2 ページ: 1-11
UWF-UMWELTWIRTSCHAFTSFORUM
巻: Vol.18, No.3-4. ページ: 197-202