研究課題/領域番号 |
22530507
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
西尾 宇一郎 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (20411796)
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研究分担者 |
石原 俊彦 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (20223018)
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キーワード | 水道事業広域化 / 地方公営企業 / 地方公営企業法適用 / 企業会計化 / アセットマネジメント / 下水道事業 |
研究概要 |
研究活動の2年度目にあたる平成23年度については、前年度に行った地方公営企業の経営や会計の現状分析とそこに存する問題点の洗い出し等に関する研究を踏まえ、上水道事業及び下水道事業を中心として、地方公営企業の経営の在り方を考察し、論点の整理を行った。 最重要のインフラと位置づけられる上水道下水道の実態を、東日本大震災における被害状況及び復旧状況の分析と絡めながら、アセットマネジメントを基盤とする老朽管更新と耐震化の必要性について検討を加えた結果、大きなポイントである広域化統合及び下水道の地方公営企業法適用化という論点を見出すに至った。上水道事業に関しては戦後膨大な投資が行われ、全国の可住地のほぼ全てに水道が普及するに至っているが、管路は1サイクル目を終わり2サイクル目の更新期になっており、今後膨大な更新投資が発生する。また、1サイクル目の大量投資時の技術を支えてきた団塊の世代が退職期を迎えている現状にあって、複数事業体の広域化統合は最も重要な施策となるものとの論点を展開し思考している。また、下水道事業についてはその9割が未だ地方公営企業法(企業会計方式化)を適用しておらず、出自から内包する赤字体質が露わにされていない状況にある。この実態を明らかにしなければ下水道事業の経営健全化の実現は困難である。下水道事業はほぼ全での自治体に存し、一般会計繰出し額は公営企業のうち最大となっており、地方自治体の財政逼迫の最大級の要因となっているため、下水道事業の経営健全化は喫緊の課題であって、地方公営企業法適用化は必須の事項であるとの論点を見出した。 さらに、今般の地方公営企業法の改正により、公営企業会計基準が大幅に変更され、今後の経営にも大きな影響を与えるものとなるため、これへの対応とその分析も本研究課題の大切な研究テーマとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上下水道事業を中心とした、地方公営企業の全国的な経営状態及び会計実態の分析を行い、経営の健全化の方針を具体的に検討している。
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今後の研究の推進方策 |
水道事業広域化及び下水道事業の地方公営企業法適用を中心に、そのもたらす効果を検証する。またアセットマネジメントを活用した長期の事業維持の方策について考察する。地方公営企業法改正による公営企業会計基準の改正の影響と効果について検討を加え、最適な運用の方針を検討する。
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