研究概要 |
ピエール・ブルデューが肺癌によって没したのは、2002年1月23日であった。パリで入手した没後の資料によれば、『ヌーベル・オプセトゥール』誌に著名な政治家(9名)、知識人(5人)、労働組合(5団体)からの弔辞が寄せられていた。大統領(当時)J・シラクは、「ブルデュー氏は、戦闘的な思想家として、又思想の闘士として永遠に残るであろう」、「"世界の悲惨"に打ちのめされた人々に貢献するブルデューの闘いは、傑出した証言として永遠に残るであろう」と讃えている。没後数年の間に出版された書籍(6冊)を入手した。(1)Travailler avec Bourdieu(2003),(2)Pour une histoire des sciences sociales(2004),(3)Pierre Bourdieu sociologue(2004),(4)La liberte par la connaissance Pierre Bourdieu(2004),(5)Pencontres avec Pierre Bourdieu(2005).(6)Les sociologie critiques du capitalisme en hommage a Pierre Bourdieu(2002)を入手した。文献(1)には、共同研究者であった者(J-C.パスロン、L.ボルタンスキーなど)を含む最も近い研究者からの論考が寄せられている。(5)には、比較的に距離のある、世界の研究者60名からの論考が集められている。ブルデュー学派の高弟であるP.シャンパーニュへのインタビューでは、ブルデュー没後の後継世代は、「ヨーロッパ社会学センター」を拠点に活躍しており、このセンターのサイトが紹介された。論争的文脈としては、「主体性」を巡ってL・ボルタンスキーと、J.アレグザンダーからの「社会的還元主義」批判と、ヤン・エルスターの「合理的選択論」と、R.ブードンの「エリート周流」論からの階級的「再生産論」批判と対立、論争していることが明らかとなった。
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