研究課題/領域番号 |
22530517
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
中野 裕二 駒澤大学, 法学部, 教授 (10253387)
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キーワード | フランス / 市民参加 / 共和制 |
研究概要 |
「共和制モデル」の変容を市民参加に焦点を当てて実態面と思想面から検証することが本研究の目的であるが、平成23年度は「テーマ型」市民参加制度に焦点を当てて研究を行った。 全国レベルの「テーマ型」市民参加制度には、「公開討論全国委員会(Commission nationale du debat public)」の他、遺伝子組み換え物質に関するコンセンサス会議(Conference de consensus sur les OGM)、気候変動に関する市民会議(Conference de citoyens sur les changements climatiques)、道路安全三部会(Etats generaux de la securite routiere)などがある。「地域型」市民参加制度が特定地域住民を対象にするのに対し、上記の制度は「利用者」を対象にする。 こうした諸制度は、以下のような貢献を行っている。すなわち、(1)政治的アジェンダにのせるべき争点の選択のための事前討議、(2)政治的決定の準備作業、(3)決定された計画の実施への参加、(4)政策評価、(5)代替的政策の提案、などである。しかし、限界も明らかである。すなわち、(1)市民参加制度への参加率の低さ、(2)制度設計者が意図したのとは異なる市民が参加する(参加者の「代表性」の問題)、(3)公的な決定に対して限定的な影響力しか持ち得ない、などである。 しかし、市民の参加、地域にあっては住民の参加制度の設置が当然のこととなりつつある現状は、選挙によって選ばれた国会議員の決定が全国一律に適用されることが民主主義であるという「共和制モデル」に基づく民主主義観と比較し、大きな変化であると言える。今後は、「地域型」市民参加制度の研究によって得られた知見、さらに「テーマ型」市民参加制度を設置する個別法令に見られる思想とあわせて、「共和制モデル」変容の視点から評価することが課題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画初期の「地域型」参加制度として対象とした「住区評議会」に関する聞き取り調査が上手く進まなかったことにより、「テーマ型」参加制度の研究への着手が遅れた。また、当初、「テーマ型」は全国レベルのもののみを対象に考えていたが、自治体レベルでの「テーマ型」参加制度への着目が必要であることが判明し、その調査にも時間を取られている。
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今後の研究の推進方策 |
「テーマ型」参加制度を定めた個別法令について、対象を限定する必要がある。また、地域レベルにおける「テーマ型」と「地域型」の関係性、機能的連携について検討する必要がある。そうしたことから、今後は、「テーマ型」参加制度については、主に公開討論全国委員会と都市計画関連の国レベル・地域レベルの参加装置に絞っていくこととする。
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