研究課題/領域番号 |
22530520
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
大野 道邦 京都橘大学, 現代ビジネス学部, 教授 (20067862)
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キーワード | 社会学 / 文化社会学 / ソローキン / パーソンズ |
研究概要 |
ソローキンの文化社会学の特徴および背景について次の知見を得た。 (1)ソローキンの主著、『社会的文化的動態』(1937-41)を解釈検討し、「文化心性」および「文化の内在的・自律的変動」についてその意味内容を明確にし、ソローキン文化社会学の特徴の一端を明らかにした。 (2)ソローキンの『今日の社会学諸理論』(1966)、『社会、文化、パーソナリティ』(1947)、および、パーソンズの『社会的行為の構造』(1937)、「キリスト教と近代産業社会」(1963)などを検討した。その結果、ソローキンにおける統合主義的・心性論的な文化システム概念、パーソンズにおける分析的リアリズム的・行為論的なそれという違いがあるけれども、両者の所論は、文化システムにおける「内在的自律性」、「意味・価値性」、「シンボル性」を強調している点で収斂しているのではないか、との暫定的な結論を得た。 (3)文化社会学に関する諸業績を検討し、「文化的自律性」を措定する文化社会学の新たな理論的可能性を呈示した。 (4)カナダ、サスカトゥーン(Saskatoon)のSorokin Collection,University of Saskatchewanへ調査旅行を実施し、ソローキンの著作、草稿、ソローキン論関係文献の調査を実施し文献・資料等を複写し撮影記録した。また、サスカチュワン大学図書館スタッフにソローキン文献関係について聞き取り調査を実施した。 (5)前年度および今年度の海外調査の結果について、とくにソローキン関係の書簡を中心に、知識社会学の観点から整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外での文献・資料調査、および、ソローキン、パーソンズにおける文化システム概念の検討については、所期の目標をある程度達することができた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)ソローキン、パーソンズがともに影響をうけたデュルケームも含め、これら三者の文化概念の比較検討をとおして、文化的自律性を強調する文化社会学の理論的特性と応用的可能性を明らかにする。 (2)ソローキン関係の書簡を読解することによって、ソローキンおよびかれの文化社会学の、アメリカ社会学会やアメリカ社会学との関連について明らかにする。
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