研究課題/領域番号 |
22530523
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
関 嘉寛 関西学院大学, 社会学部, 准教授 (30314347)
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研究分担者 |
渥美 公秀 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (80260644)
山下 祐介 弘前大学, 人文学部, 准教授 (90253369)
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キーワード | 災害復興 / 市民社会 / 参与観察 / 中越地震 / 住民参加 |
研究概要 |
本研究は、災害を契機として日本において市民が主体的に関わる社会=市民社会が成立しうるかどうかを明らかにすることを目的としている。災害は、日常生活の暗黙の前提を突き崩し、当該社会が抱える問題を明らかにする。したがって、当該社会をあらためて考え直す契機となる。その見直しの先に、新しい社会の構想、市民社会が見えてくると考え、調査・研究を行った。市民社会は、災害によって苦難を経験した人々にとって、当該社会がすでに抱えていた問題への配慮に基づく社会であり得るかどうかも今回の調査・研究では重要な論点である。 本年度は新潟県中越地震の被災地で継続的に参与観察およびアクション・リサーチを行った。この成果は、研究代表者の学会発表および研究分担者の論文として発表している。復興において地域の特性を活かした活動が重要になるが、その特性そのものは、住民参加あるいは住民主導の話し合いによって見つけられていく。この話し合いの場は、復興活動という目的がなければ成立しない空間である。復興というテーマのもとに、いままで自明とされ、話し合うことさえされなかった話題が話し合われるということで、被災地域に新しいコミュニケーションのあり方が創り出されていることがわかった。また、日本における市民社会の基礎にある社会構造の変容についても研究分担者によってまとめられている。 さらに、アメリカでの調査では復興というものがdisaster response/managementと表され、そもそも社会システム・制度の中に組み込まれた回路であり、社会の創造という側面に力点が置かれていないことも明らかになった。したがって、復興と社会の創造という考え方は日本特有なものであるということがいえる。
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