研究課題/領域番号 |
22530523
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
関 嘉寛 関西学院大学, 社会学部, 准教授 (30314347)
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研究分担者 |
渥美 公秀 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (80260644)
山下 祐介 首都大学東京, 都市教養学部, 准教授 (90253369)
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キーワード | 災害復興 / ボランティア / 市民社会 / NPO / 東日本大震災 |
研究概要 |
本年度の研究計画は、「住民参加」「市民活動と住民の関係」に焦点を当てながら、「政治、経済及び社会のガバナンス」に関する調査・研究を進めることであった。この点に関しては、中越地震・中越沖地震の被災地に赴いたり、阪神・淡路大震災に関係したNPO・NGOのスタッフなどと打ち合わせをして、すすめていった。被災地での住民参加にもとづく復興活動は、市民社会的な関係を目指してはいるが、実際のところ社会状況や個人の生活サイクルなどによっても左右されていた。この点は、理念的な市民社会像ではなく、市民社会に生きる個別の人々へのマクロな視点が必要であることを物語っていた。 また、本年度は、2011年3月に東日本大震災が発生したため、当初の計画であった阪神・淡路大震災や中越地震の被災地、あるいは青森などの調査に加えて、岩手県野田村や宮城県石巻市などの災害復興活動について参与観察を行った。 結果として、災害時ではいわゆる「災害ユートピア」的な状況が生まれ、個人的利害関心が利他的なものになる傾向がある。したがって、災害時における理想的社会像はある意味、原始的で有機的な紐帯に依拠したものであるといえる。しかし、他の被災地がそうであったように、時間が経るとともに、復興が進み生活再建が現実問題として立ち上がって行くにつれて、利他的な私的関心が薄れていく。 そのような状況の中で、重要なのは外部からの支援であることが今回の参与観察などで明らかになった。外部からの支援は、災害後にできあがった新しい社会的紐帯の弱体化を客観的に指摘し、被災地の文脈に拘束されずに関わることが可能であるからだ。 この点については、今後の東日本大震災の復興だけでなく、日本における市民社会研究においても重要であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査対象地には定期的に通うことで、情報は収集することができている。ただし、東日本大震災が発生したこともあり、海外への調査は十分ではない。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に向けて、とりまとめを行う。また、東日本大震災における知見も取り入れながら、当初想定した以上の成果を出していくことを目標とする。 海外との比較に関しては、日本で手に入る限りの情報(文献や情報提供)を収集していくこととする。
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