研究課題/領域番号 |
22530523
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
関 嘉寛 関西学院大学, 社会学部, 教授 (30314347)
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研究分担者 |
渥美 公秀 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (80260644)
山下 祐介 首都大学東京, 都市教養学部, 准教授 (90253369)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 市民社会 / 復興 / 中越地震 / 住民意識 |
研究概要 |
本年度は、中越地震の被災地、新潟県小千谷市の塩谷集落および旧塩谷集落住民が暮らす地域にてインタビュー調査を行った。この調査の目的は、災害を契機に住民間の関係がどのように変化し、それが復興やまちづくりにどのように影響するかを明らかにすることであった。 被災直後は、一定の共同体意識が醸造されるが、個別の生活の復興が判断される段階になると、個人的利害が共同体的利害を超え、優先される傾向が明らかになった。その結果、被災集落に残った住民と被災集落から転居した住民との間に意識はされているが明示的ではない境界ができあがり、復興において大きな障害となっていることがわかった。 具体的には、人的資源が被災集落では高齢化などにより枯渇しつつあるが、故郷であるその集落を転居した住民たちは支持しようとしない。結果として、被災集落に残った住民組織は人材不足や集落内でのプレゼンスの低下などもあり、不活性化していく傾向が見られた。一方、転居した住民たちは失故郷という状況となり、伝統的な年中行事にもなかなか参加できない状況であった。 それは、結果として双方の復興を遅らせることとなるので、かれらが一堂に会する場や機会作りが急務となっている。 市民社会という側面から考えるならば、住民がセクト化してしまい、市民が市民を支える社会としての市民社会へのステップにうまく移れない状況が生じている。その要因は、高齢化というよりも、復興における住民意識の乖離というものがあげられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中越地震における住民組織と市民社会については、順調に進んでいる。一方、2011年に発生した東日本大震災におけるアクション・リサーチについてまだデータ収集および情報収集の段階であり、充分に進んでいるとはいえない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、中越地震の被災地での市民社会論的検討を中心に、東日本大震災の被災地やそれによる広域避難者と支援の関係を拡げることで、研究目的を達成したい。 中越地震では、参加するという住民意識がどのように変容し、またそれがどのように活性化するかについての知見がまとめられる。東日本大震災では、被災段階の初期でのユートピア的状況から現実生活の復興段階における共同体意識の弱体化がどのようにして回避可能であるかを明らかにしていく。そうすることで、復興においてスムーズなコミュニティ作りへのひとつの道筋をあきらかにできるはずである。 そして、広域避難者については被災していない地域に一種の異物として投げ込まれた被災者がどのように避難地域のサポートを受け、被災体験から起因する厳しさを和らげられるかを明らかにしていきたい。
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